Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Transformative Research Areas (A)
沿岸域には、複数の河川が隣り合うように存在することが多く、降水イベントに伴ってこれらの河口から同じタイミングで沿岸域へ河川水が流入する.流入した河川水は海岸線に沿って連続した低塩分水域が形成するようになる.異なる起源をもつ河川水がいかに合流しながら海水と混合し、その栄養物質が生物生産に利用されるのか、本研究では数値モデルを用いて明らかにする.領域スケールの中で、河川が河川群として沿岸域の環境形成に果たす役割を明らかにする.
日本の沿岸域では、複数の河川が隣り合うように存在することが多いため、降水イベントが起こると複数の河口から同じようなタイミングで河川水が沿岸域へ流入する.そして河口の周辺海域では、各河川水からもたらされた栄養塩が、水塊混合を起こしながら生物生産に利用されていることが予想される.しかしこれまでのオイラー型生態系モデルでは、混合が活発に起こる環境場で、どの河川から流入した栄養塩が、どの海域、そしてどのタイミングで植物・動物プランクトンの増殖に利用されているのかを解明することが難しい.水塊や物質が輸送される経路を直接計算していないためである.複数河川によってもたらされた低塩分水および栄養塩が、植物・動物プランクトンの成長に利用されるまでのプロセスを明らかにするためには、ラグランジアン型かつ窒素循環を追跡できる生態系モデルが必要である.そこでマルチスケールモデリング班(A04)と共同で、大規模計算が可能な粒子追跡型生態系モデルの開発に取り組んだ.このモデルは、海洋モデルKINACOにおける粒子追跡モデルにKida&Ito(2017)を一体化したものである.シミュレーションの結果が、投入する粒子数や空間解像度に依存しないようにするため、1次元の柱状モデルを用いた植物プランクトンブルームの感度実験を実施した.そしてこの新しく開発したモデルを用いて河川水の流出モデルを構築し、河川プリュームの3次元的な粒子追跡実験の構築を進めた.また物質循環の長期変化の再現に向け、厚岸湾内に水温・塩分計・クロロフィル濃度計を設置し、長期係留観測を実施した.
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
当初の計画通り、物理と生態系を結合した数値モデルの構築と実験を行い、再現性の検証および解析が進んでいる.また厚岸湾内にて長期係留観測を実施した.
複数の河川に焦点を当てた物理―生態系結合モデルの数値実験の解析を進め、単一河川との違いを評価する.また粒子追跡モデルを用いることで水塊のラグランジアン的な動きの役割を評価する.
All 2024 2023
All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results, Open Access: 1 results) Presentation (1 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results)
Journal of Geophysical Research: Oceans
Volume: 129 Issue: 1 Pages: 19755-19755
10.1029/2023jc019755