Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
本研究では、量刑審理および量刑評議の在り方について実践的な提言を行うために、模擬裁判研究が実施された。具体的には、手続二分という審理形態が量刑判断に及ぼす影響と、量刑分布グラフの利用が量刑判断に及ぼす影響が検討された。まず、手続二分を採用することが量刑判断に及ぼし得る影響については、陪審研究において指摘されてきたストーリーモデルや、認知バイアスとして指摘されている確証バイアスによっても説明可能であるが、実務上問題となるのは中間的な評議において有罪判断を表明することによって生じる効果であることを明らかにした。すなわち、手続二分と量刑判断との関係を検証するためには、コミットメントの観点からアプローチすべきことが示された。そのような問題関心に基づいて、手続二分によるコミットメント効果の有無を検証するための心理実験を計画・実行した。その心理実験においては、手続二分によるコミットメント効果を明確に示すことはできなかったが、その可能性を示唆する知見も得られた。このような結果を踏まえて考察をさらに進めることで、今後の実験計画立案において重要と思われる点を明らかにすることができた。すなわち、有罪判断と無罪判断がどの程度深刻に争われている事案を実験において利用すべきか、あるいはコミットメントの表明のさせ方といった点について改善すべき方向性が示された。これらのポイントを踏まえたさらなる実験は今後の課題であるが、本調査により、手続二分と量刑判断との関係性について知見を深めることができた。また、量刑評議における問題を検討するために、量刑分布グラフの効果についても、上記心理実験において検証した。ここでも、コミットメント効果に依拠した仮説の検証が試みられたほか、判断者の個人的属性が、量刑分布グラフの利用程度に違いをもたらすか否かも検証された。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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法と心理
Volume: 13 Pages: 98-103