Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
BiOラジカル分子を用いたeEDMの探査のために、理論および実験的の両面から研究を進めた。まず、理論的アプローチとしては、eEDM探査には最も重要な特性である分子内電場を予想するために、江原が大規模な量子化学計算を行った。具体的にはDirac-Coulomb方程式を正確に解いて得られた分子軌道とその配置間相互作用(CI)を考慮することによって、内部電場に関する相対論的エンハンスト因子を正確に計算した。その結果、BiOの基底状態の内部電場は従来報告されていた計算結果よりも数倍大きく、eEDM探査候補とされる分子の中でも最大クラスであることを明らかにした。実験的アプローチとしては、金森は気相でのBiOラジカルの生成法を確立するために、金属Biを真空中の電気ヒーターで溶融し、蒸発したBi原子をO2気体の放電プラズマ中に導入することによって、BiOを生成することに成功した。さらに、BiOの振動・回転量子状態をモニターするために可視光領域の半導体レーザー吸収分光法を導入し、一つの回転状態が超微細構造で10本に分裂した高分解能電子遷移スペクトルの観測に成功した。また、この手法を用いてBiOラジカルの寿命を調べたところ、化学的な寿命は1ミリ秒以下であることが判明したので、試料気体として容器に保存すること不可能と判断した。したがって、p-H2結晶中にBiOを取り込むためには、オンサイトでの生成法が必要となるので、酸化物試料Bi2O3のレーザーアブレーションと分子ジェットを組み合わせたラジカル分子線発生装置の開発を行った。内部量子状態をモニターする分光検出手段としては、LIFを導入した。また、BiOラジカルのスピンと分子の配向を制御するための磁場と電場として、超伝導コイルとメッシュ電極をパラ水素結晶作成装置に組み込んだ。以上のようにBiOのeEDM探査研究を理論および実験的に前進させた。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2014
All Presentation (2 results)