Budget Amount *help |
¥7,800,000 (Direct Cost: ¥6,000,000、Indirect Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2013: ¥3,120,000 (Direct Cost: ¥2,400,000、Indirect Cost: ¥720,000)
Fiscal Year 2012: ¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
|
Research Abstract |
1)α,β,γ,δ-不飽和アルデヒドへの1,6-選択的付加反応を引き起こすペプチド触媒の開発に関し,予備的結果に基づき,5-フェニル-2,4-ペンタジエナールに対するHantzschエステルからのヒドリド移動反応を検討した。その際,過剰のHantzschエステルを用いて1,6付加反応生成物を1,6/1,4の二段階還元生成物に誘導した。結果的に,ペプチド触媒では,1,6-還元体が,低分子の有機触媒では1,4-還元体が主生成物となり,位置選択性の発現がペプチド触媒由来であることが分かった。また,3位にメチル基を有する基質を用いて反応を行った結果,90%の位置選択性,99%のエナンチオ選択性で生成物を得ることに成功し,基質一般性も確認できた。 2)スペクトル解析・量子化学計算による位置選択性発現の機構の解明に関し,NMRからペプチドが単一 のコンホメーションをとっていないことが示唆され,有効な構造情報は得られていない。しかしながら,上記1)の触媒最適化の過程で,5-メトキシトリプトファンを有するペプチドがトリプトファンをもつものよりも高い触媒能を示すことを見出し,反応中間体のイミニウムイオンと電子豊富なトリプトファンとのCT的相互作用が示唆された。 3)ペプチド触媒によるα,β,γ,δ-不飽和アルデヒドに対する位置選択的なチオールの共役付加を検討し,1)と同様に1,6/1,4-二段階付加体が主生成物として得られることが分かった。しかし,この場合は低分子有機触媒を用いた対照実験でも同じ生成物が得られた。大きく異なったのは鏡像異性体過剰率でで,ペプチド触媒では70%台であったのに対して,低分子触媒では5%以下であった。反応を詳細に検討した結果,先に可逆な1,4-付加が起こり,時間の経過とともに熱力学的に安定な二段階付加体に変わっていくことを明らかにした。
|