Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
反応基質に含まれる原子を無駄にしない触媒的原子移動型反応を集積化することは、有機合成の効率化を高度に実現する重要な手段となる。報告者は本研究課題において、原子移動型反応の高度集積化による多環式化合物の構築と創薬展開に取り組んだ。平成25年度においては、以下に略述する研究成果を得た。(1) 原子移動型中員環形成反応によるLaurencia属環状エーテル骨格の構築:Laurendecumallene B は、ソゾ属の紅藻から単離された八員環エーテル構造を有するC15アセトゲニンである。報告者はパラジウム触媒を用いた原子移動型中員環形成反応により、Laurencia族に広く存在する中員環エーテル構造を構築することを計画した。市販のL-アラビノースから容易に合成できる環状プロパルギルカルボナートを基質として、中員環エーテル骨格構築反応の検討を行った。その結果、少量の水存在下においてパラジウム触媒を作用させることによって、目的の八員環環状エーテルを中程度の収率で得ることに成功した。続く13工程の変換により、Laurendecumallene Bの中心骨格を有するブロモアレンへ誘導した。(2) 連続環化反応を用いた四環性スピロインドール類の合成:インドールと外部求核体を用いた連続環化反応による縮環型スピロインドール合成法の開発を行った。プロパルギルクロリド部位を有するインドールと、外部求核体としてスルホンアミドを用いて反応の検討を行った結果、目的の連続環化が期待通りに進行する条件を見出し、四環性縮環型インドールを良好な収率で得ることに成功した。以上のように報告者は、原子移動型反応の集積化がドラッグライク複素環の構築に極めて有効であることを明らかにした。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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http://www.pharm.kyoto-u.ac.jp//seizo/