Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
細胞内の環境は多種類の生体分子が高濃度に溶解した分子クラウディング状態にある。本研究では、細胞内における固液界面でのタンパク質間相互作用に焦点を当て、分子クラウディングが反応の静的および動的挙動に及ぼす影響について調べてきた。本年度はとくに、分子クラウディング剤の種類および固液界面に固定されたタンパク質の配向性・可動性が、拡散速度および複合体形成速度などの動力学に与える影響を調べた。分析には、昨年までと同様に、表面プラズモン共鳴(SPR)分析法を用いた。SPRセンサーチップの金蒸着表面に末端に反応性官能基をもつ自己組織化単分子膜(SAM)を形成させ、その末端にEGFを化学結合を介して固定した。このとき、アルキル鎖と官能基の間に長さの異なるエチレングリコール鎖を有するアルカンチールを用いることで、末端に固定されたEGFの可動性を変化させた。また固定化分子の配向性の影響をみるため、従来のカルボジイミド法による固定法と末端のタグを利用した固定法の両者を採用した。クラウディング剤として、ポリエチレングリコール、dextran 70、Ficoll PM70 を用いた。クラウディング溶媒に溶かした抗EGF抗体をEGF固定基板上に流し、固定化抗原と抗体の結合・脱離過程を追跡した。その結果、PEG濃度の上昇に伴うkonの低下が、可動性の高い表面では、低い場合に比べ 緩やかであった。また、dextranとFicollにおいては、konの変化は小さく、若干の増加傾向が示唆された。このことは、表面に固定化された抗原の可動性が分子クラウディング環境下におけるkonの低下を抑制することを示し、また、konを少しながら増加させる可能性をも示唆した。以上のように、分子クラウディング剤の種類および固定化抗原の可動性が、拡散速度および複合体形成速度などの動力学に影響を与えることが示唆された。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2013 2012
All Presentation (4 results)