Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
鋳造材を押出加工したMg-Y-Zn合金は、母相であるα-Mg相と析出相である長周期積層構造(LPSO)相から構成され、優れた機械的性質を示すことが知られている。この合金の強度発現機構を調べるためには、強化相となるLPSO相単結晶の機械的性質を調査する必要がある。しかしながら、LPSO相はプロセスを制御しても粗大な単結晶を得ることがきわめて困難である。ところで、研究代表者はマイクロ材料評価技術という新しい材料試験法を開発しており、この手法を用いると、従来の材料試験では解明できないMg-Zn-Y合金中に形成される微小LPSO相の機械的性質を直接評価することが可能となる。平成24年度は、Mg-Zn-Y一方向鋳造材のLPSO相から結晶方位を変えた微小単結晶引張試験片を切り出し、マイクロ材料評価技術を用いることで、LPSO相の機械的性質に及ぼす結晶方位の影響を調査し、LPSO相の変形挙動にはきわまて大きな結晶異方性があることを示した。そこで、平成25年度では、さらにキンクを導入したときの力学特性について調査した。まず、底面すべりが容易な方位のLPSO相試験片にキンクを導入し引張試験を行ったところ、降伏応力、加工硬化率ともに増加した。これはキンク帯により主すべりである底面すべりが抑制されるとともに、LPSO相の結晶粒内に変形能の違いが発生したことに起因していると考えられる。一方、底面すべりが困難な方位のLPSO相試験片にキンクを導入して引張試験を行ったところ、引張強さはキンクを導入する前の半分以下となったが、延性が大きく改善された。これは、キンクが形成された領域で結晶回転が起こり、底面すべりが活動したためと考えられる。以上のように、LPSO相にキンクを導入すると、その結晶方位に依存して変形挙動に大きな差異が現れる。この結果は、LPSO相を利用した強化設計において重要な指針となる。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Mater. Sci. Eng. A
Volume: 570 Pages: 63-69
10.1016/j.msea.2013.01.069
http://www.msre.kumamoto-u.ac.jp/~sentan/