Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
ピロリ菌は ヒトの胃に感染し胃炎、潰瘍、胃がんを引き起こす細菌であり、高い突然変異率と高い系列間相同組換えによる、ゲノムとエピゲノムの著しい多様性によって知られている。この細菌は幼年期に感染し、一生そこに存続し、遂には胃がんを引き起こす。速い進化の原因は、ピロリ菌がゲノムとエピゲノムを作り替えることによって、新しい小児ホストに適応して、定着することかもしれない。このようなゲノムのミクロ進化と適応を解明するために、私達は、同じ家族内の構成員から得られたピロリ菌で、従来の、7つの遺伝子の配列だけに基づくmulti-locus sequence typingでは、同一あるいはほぼ同一であり、ゲノムがそっくりと考えられるものを選び、全ゲノム配列をIlluminaのショットガンシーケンシングで解読した。まず、塩基突然変異を検出することによって、小児をも含んだ感染経路を詳細にかつ確実に明らかにすることができた。アミノ酸を替える突然変異は、病原性に関与する遺伝子群、外膜タンパク質など細菌細胞表層に関わるタンパク質の遺伝子群、シグナル伝達遺伝子群に起きていた。関与する遺伝子は、小児によって異なっており、これらから、ピロリ菌が新しいホストに適応していく様々な道筋が明らかになった。これらの結果は、病原性に関与する遺伝子が小児への適応に関与する可能性を示唆した。また、アミノ酸を替える突然変異は制限修飾系遺伝子にも起きていた。これらの突然変異は、メチロームを作り替えることによってトランスクリプトームを改変し、適応に関与している可能性がある。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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