Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
本提案課題の目的は、三量体Gタンパク質共役型受容体(GPCR)の下流に存在する、様々なシグナル伝達経路が分岐する仕組みを解明する事である。このため、複数のシグナル分子を、蛍光色素1分子観察法を用いて1分子ずつ同時に見て、それらの相互作用を調べるという方法を用いた。顕微鏡のセットアップ、蛍光色素によるタンパク質分子のラベル法などの実験手法と解析法の基本部分の確立は、前年度に本新学術領域研究のサポートによって行ったが、解析法については、高速化と簡便性について大幅に改良の余地があることがわかったので検討を続けた。この観察技術を用いて、細胞内の3つの異なるシグナル分子、1)Gタンパク質共役型受容体(GPCR)の一つである、β2アドレナリン受容体、2)GPCRをはじめとする様々な分子についてシグナル伝達のプラットフォームとなる足場タンパク質EBP50、さらに、3)活性化後の脱感作の過程でGPCRに特異的に結合するシグナル分子、アレスチンを同時に観察した。その結果、アゴニスト添加前にも、β2アドレナリン受容体とEBP50の結合がみられたが、この結合は100ミリ秒程度しか続かず、従来の知見とは異なり、足場構造そのものが極めて動的に生成消滅しているらしい可能性が示唆された。アゴニスト添加後には、こうしたEBP50とアドレナリン受容体との結合も刺激前と同様に観察されたが、同時に、アレスチン分子と受容体とが、100ミリ秒以上結合するという、比較的安定な複合体形成の様子も見られた。また、アドレナリン受容体、EBP50、アレスチンの3つが、100ミリ秒以下という極めて短時間だけ結合し、かつ膜上で停止しているという、全く新しいシグナル分子複合体を形成する事が分かった。これらの観察から、EBP50を含む異なる種類のシグナル分子複合体では、そこに含まれる受容体分子が素早く交換しており、シグナルの分岐を担っている働きの一つであることが示唆された。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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