Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
細胞周期進行に伴う転写の動態について、特に代謝酵素に注目し、発現量の変化パターンによるグループ化とプロモーター解析から転写による律速酵素の同定を試みた。その結果、増殖停止状態にあるNIH3T3細胞がFGF刺激による細胞増殖進行に伴ってグルタミンを基質とした核酸代謝カスケードを構成する酵素群の転写がただちに活性化すること、それらが類似した活性パターンを示すことを見いだした。網羅的データベース解析により、同様の傾向がヒト乳腺上皮細胞および線維芽細胞において見られることを見いだし、解析対象とした細胞に特有の現象ではなく複数種の細胞間で共通して見られる現象であることを確認した。増殖停止状態から細胞増殖へ向かう際の核酸代謝酵素の遺伝子発現量をRT-qPCR法によって時間軸にそって計測しデータベース解析の結果を検証した。その結果、転写活性化のタイミングと応答性に顕著な特徴が認められた。増殖刺激後速やかに(4-6時間)活性化される遺伝子はリボヌクレオチド合成およびサルベージ経路に含まれる酵素であること、それらの活性化タイミングは刺激の強度に依存する事が明らかとなった。これは増殖因子の刺激強度に依存して細胞周期が進行するというFACS解析の結果とも一致していた。一方で刺激後後期(10時間以降)に発現する遺伝子の活性化タイミングと刺激強度の間に明確な相関は認められなかった。プロモーター解析の結果、これら二群の遺伝子は異なる転写因子に転写制御を受けていることが明らかとなった。以上の結果から、核酸代謝に関わる酵素群はこれまで細胞周期進行の引き金と考えられてきたE2Fによる転写活性化ではなく、E2Fの活性化に先行して異なる転写因子によって誘導されていること、また経路上部に位置する酵素が転写による律速酵素である可能性を示した。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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