Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
本領域は精神機能の自己制御の解明を目指しているが、精神の自己制御の破綻を来す精神疾患のひとつに気分障害がある。思春期におけるイベントが気分障害に発症にどのように影響するかは、ほとんど研究されていなかった。そこで、気分障害モデルマウスを用いて思春期(性成熟期)早発と発症の相関について解析した。ここで利用した気分障害モデルマウスは変異Polg1トランスジェニックマウス(Tgマウス)であり、2~3週間続く、うつ病エピソードに類似した行動変化を半年間に約1回の頻度で示す。このTgマウスは、実験用マウス系統(C57BL/6J)で作製したためメラトニン合成能を持たないが、メラトニン合成能を持たせることによって性成熟の時期を遅らせる(マウスとしては正常な時期に戻す)ことが可能である。野生由来マウス系統(MSM/Ms)と掛け合わせ、メラトニン合成能を有するC57BL/6Jコンジェニックマウスの作製を完了させた後に、このコンジェニックマウスとTgマウスを計画的に掛け合わせて目的の遺伝子型を持つマウスを作出した。このマウスを長期(半年間)の行動解析に供し、エピソード頻度が変わるか、エピソード非依存的な行動学的表現型が変わるかを調べた。メラトニン合成能を持つC57BL/6Jマウスでは両性を同居させてから交配に至るまでに時間がかかることが多く、行動解析に供するためのマウスを作出することが困難であったが、今年度末までに実験を2回(それぞれ半年間の測定)行った。その結果、メラトニン合成能を持つTgマウスも、持たないTgマウスとほぼ同頻度で、うつ病エピソードに類似した行動変化を示すことが判明した。ただし、エピソードではない期間に見られるTgマウスの表現型(性周期に伴う行動量の大きな変動)は減弱していたことから、メラトニンの効果は限定的であるが存在すると考えられた。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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分子精神医学
Volume: 13 Pages: 212-217