Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
東北地方太平洋沖地震は東日本を中心に甚大な被害をもたらし,これらの地域に住んでいる子どもたちの生活環境は大きく変化した。子どもの発育期における社会経済的な環境は将来に渡るライフスタイルにも影響を与えることが指摘されている。そこで,東日本大震災において大きな被害を受けた地域に在住する子どもの親の社会経済的状況が急激に変化することが,子どもの発育にどのような影響を及ぼすのか,既存の前向きコホート研究においての成績を基に明らかにすることを目的とした。本研究は,2001年1月から開始されたコホート研究であるTohoku Study of Child Developmentを用いて検討した。このコホート研究では,親の学歴や経済状況,育児環境について質問紙調査を実施している。児の身長・体重の推移,対象となる家庭の基本特性,児の身体的特性および社会経済的要因等に関するデータベースの作成およびデータの解析を進めた。今回は,特に家庭の社会経済状況と関連があると考えられる震災の被害状況と子どもの発育状況との間にどのような関係が見られるのか,解析を行った。今回の解析対象母児における震災時の被害状況は,家屋の全半壊および損壊,水没および浸水など,何らかの被害があったのは全体の64.3%であった。また,震災の被害状況と子どもの発育状況との間にどのような関連性が見られるのか検討したところ,震災による被害状況別に,児の身長や体重をみると,現時点では統計学的に有意な差は観察されなかった。身体への影響は震災直後ではなく、数年後に顕在化する可能性があることから,これから子どもたちの発育状況が変化することも十分に推察される。引き続き注意深く子どもたちの発育状況を見守っていく必要があると考えられた。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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