Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Transformative Research Areas (A)
考古材の産地が特定できれば、当時の人間社会の行動範囲や他集団との交流、森林資源の利活用を具体的に記述することが可能となる。本研究では、樹木年輪の酸素同位体比による汎用性の高い年代決定手法を応用するとともに、ストロンチウム同位体比という独立した指標を統合することにより、木材の産地を高精度かつ定量的に判別する手法を開発する。
これまでの研究により、多地点で年輪データを取得することにより酸素同位体比から木材の産地を推定しうることが分かってきた。しかし、年輪の酸素同位体比は気候の影響を受けて変動するため、酸素同位体比単独では、類似した気候帯に生育する樹木の産地を識別することが難しい。本研究では、この酸素同位体比の弱点を補うため、気候の影響を受けないSr同位体比を併用して木材の産地を判別できないか検討することを目的とした。本年度は、まず木材に含まれるストロンチウム同位体比を効率よく測定するための実験手法の開発に取り組んだ。まず、マルチビーズショッカーによる木材の粉砕、1mm厚の薄板化、ミクロトームによる薄片化による前処理を行った。ついで、木材そのまま、ホロセルロース、セルロースの各段階で成分抽出したうえで、ホットプレート、マイクロ波分解装置を用いて硝酸に漬けたサンプルを分解した。また、木材を灰化処理して有機物を除去する方法も試した。上記の組み合わせで実験した結果、リグニンを除去する漂白過程で大部分のストロンチウムが溶出することや、灰化処理によりSrを効率的に回収できることが分かった。木材全てを使いMC-ICP-MSで各地のSr同位体を測定した結果、岩石のSr同位体マップと同じような数値の空間分布が木材Srに認められた。この結果に加え、年輪酸素同位体比ネットワークを用いることで産地の絞り込みが可能となることが分かった。
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
木材のストロンチウム同位体比測定のための実験手法を検討して、大量分析に向けたプロトコルを作成した。次いで、日本各地で収集した木材サンプルのSrと酸素の同位体比を測定・解析し、産地判別の可能性を提示できた。
産地判別の手法開発が主要なテーマであるため、昨年度の成果に基づき、1)ストロンチウム同位体比の測定プロトコルの改良と、2)産地が既知のサンプルを用いた参照基準となる空間マップの作成を進める。本年度は、研究協力者から提供される全国各地の木材を利用してデータを蓄積する。
All 2025 2024
All Journal Article (10 results) (of which Int'l Joint Research: 4 results, Peer Reviewed: 7 results, Open Access: 5 results) Presentation (7 results) (of which Int'l Joint Research: 3 results)
Climate of the Past
Volume: 21 Issue: 1 Pages: 133-144
10.5194/cp-21-133-2025
Dendrochronologia
Volume: 91 Pages: 126319-126319
10.1016/j.dendro.2025.126319
Journal of Forestry Research
Volume: 35 Issue: 1 Pages: 56-56
10.1007/s11676-024-01707-9
Frontiers in Forests and Global Change
Volume: 7 Pages: 1269346-1269346
10.3389/ffgc.2024.1269346
Radiocarbon
Volume: - Issue: 3 Pages: 485-497
10.1017/rdc.2024.55
Quaternary Science Reviews
Volume: 340 Pages: 108861-108861
10.1016/j.quascirev.2024.108861
文化財科学
Volume: 89 Pages: 47-59
季刊考古学
Volume: 168 Pages: 16-20
Volume: 168 Pages: 74-76
古代学研究
Volume: 240 Pages: 34-38