Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
本研究は,ネアンデルタール人と現生人類の脳の各部分の大きさと割合の差を解明することを目標とし,脳の区分の境界を知るための頭蓋形態の指標を開発しようとするものである.平成26年度は下記の2つの項目に取り組んだ.A. 頭蓋内面の圧痕に基づく脳溝・脳回の同定霊長類10種16例の乾燥頭蓋標本を用いて,CTデータによって仮想的エンドキャストを作成した.中心溝,主溝,弓状溝,外側溝,上側頭溝をはじめ,頭蓋に面する主要な脳溝がほとんどの種のエンドキャスト上で同定できた.ただし,最も頭蓋の大きいチンパンジーでは脳溝との対応が確認できず,次に頭蓋の大きいニホンザルにおいて頭頂部が平滑で溝が不明瞭な傾向にあった.さらにチューリヒ大学のZollikofer教授らと共同で,チンパンジー,ボノボ,ゴリラ,ヒトの幼若個体のCTデータを検討した.その結果,脳容積の増加の顕著な時期において脳溝に対応する溝がエンドキャスト上に同定できるが,その後の成長に伴って溝が不明瞭になることが明らかになった.B. 冠状縫合の位置に基づく中心前溝の位置の推定霊長類乾燥頭蓋標本で弓状溝下脚(ヒトの下中心前溝に相当)と冠状縫合下部の位置関係を検証し,弓状溝下脚は概ね冠状縫合の近くに位置することを明らかにした.次にヒトの解剖学実習体において中心前溝と冠状縫合の位置関係を解析した.下中心前溝は冠状縫合の後方(前頭後頭長の6.3%後方)に位置していた.この所見に基づいて,ネアンデルタール人3個体と現生人類14個体のCTデータにおいて,冠状縫合の位置から下中心前溝の位置を推定した.下中心前溝の位置におけるエンドキャストの冠状断面積は,エンドキャスト容積が同じ場合,現生人類に比べてネアンデルタール人で小さい傾向にあった.これは,現生人類に比してネアンデルタール人において,前頭前野と他の脳領域との線維連絡に制約があったことを示唆する.
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Dynamics of Learning in Neanderthals and Modern Humans
Volume: 2 Pages: 131-137
10.1007/978-4-431-54553-8_14
Volume: 2 Pages: 139-143
10.1007/978-4-431-54553-8_15
http://www.koutaigeki.org/inv2/index.html#07