Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
ポリシランはケイ素が一次元で連結した構造をもち、蛍光性や高いホール移動度、光分解性などの性質をもつ機能性ポリマーとして知られている。ポリマーの物性は主鎖上にσ電子が非局在化したσ共役に由来するためコンフォメーションに大きく依存する。一方、有機配位子と金属イオンとの自己集積により均一な細孔をもつ多孔性金属錯体が大きな注目を集めている。本研究では細孔サイズの異なる二種類の多孔性金属錯体にポリシランを導入し、細孔内でのポリシランのコンフォメーションについて考察を行った。比較的低分子量に制御されたポリメチルプロピルシラン (PMPrS; Mn= 3,460) を合成した。一次元チャンネルを有する多孔性金属錯体[Al(OH)(L)]n(1a; L=2,6-naphthalenedicarboxylate, 1b; L=4,4´-biphenyldicarboxylate)をPMPrSのヘキサン溶液に浸漬した後、真空下、120℃で5時間加熱することで、PMPrSを1に導入し、複合体(1⊃PMPrS)を得た。PMPrSと1の細孔サイズより、細孔内でPMPrSは一本鎖状態で存在していると考えられる。細孔内のPMPrSの主鎖構造を比較する為に、複合体のラマン分光測定を行った。650cm-1付近のSi-C伸縮振動に由来するピークの相対強度は、1aの細孔中に存在するPMPrSの方が1bに比べて大きいという結果になった。Si-C伸縮のピークの相対強度は、ポリシランの主鎖構造と相関関係があることが知られており、主鎖がトランスになるほどこのピークの相対強度は大きくなることから、細孔サイズが小さい1aでは、1bに比べて主鎖がよりトランスに近いと考えられる。このことはMDシミュレーションからも示唆された。以上の結果より、細孔にポリシランを導入することで、その主鎖構造を制御することが可能であると分かった。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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