Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
イリジウム酸化物に代表される5d電子系のスピン‐軌道相互作用は約0.5eVと大きく、かつ電子相関とも競合するという特徴を持つ。そのため相関の効いたトポロジカル絶縁体の候補と考えられており、中でも、ペロブスカイト酸化物SrIrO3を(111)面上に2層ずつ積層することで形成されるハニカム格子が理論的に有望と予測されている。この予測は人工超格子によるバンド構造制御、すなわち超格子バンドエンジニアリングにより初めて実現が可能であり、本研究ではパルスレーザー堆積法によりこれに取り組んだ。前年度に確立した(111)面上でのペロブスカイト構造の安定化技術を活用し、人工超格子[(Ca0.5Sr0.5IrO3)2m、(SrTiO3)2]/SrTiO3(111)(m=1,2,3,∞)を作成した。m=1は理論で予言される2層ずつの超格子に対応し、mを大きくすることは次元性の増大に対応する。設計通りの超格子が原子レベルで積層されていることをX線回折の超格子ピークおよび高角散乱環状暗視野走査透過顕微鏡法によって確認した。輸送特性の測定により、mの減少に伴い半金属から絶縁体へと変化することが明らかとなった。特にm=3ではおよそ100 Kで高温の金属相から低温の絶縁体相への転移が観測された。この転移温度以下では明瞭な磁場ヒステリシスを伴う異常ホール効果が観測されたことから、低温相は磁性絶縁体である。その起源は反強磁性に付随した寄生強磁性と考えられ、m=3においては電子相関が重要であることを示唆している。m=1, 2においては高い抵抗率により異常ホール効果が測定できなかったため、非磁性絶縁体である可能性とm=3と同様の磁性絶縁体である可能性の両方が考えられる。これらはトポロジカル絶縁体あるいはその近傍の強相関絶縁体と考えられ、イリジウム酸化物がまさに両者の競合する舞台であることを示している。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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APL Materials
Volume: 3 Issue: 4
10.1063/1.4913389
Nat. Commun.
Volume: 4 Issue: 1 Pages: 28931-6
10.1038/ncomms3893
http://www.topological-qp.jp/member/sp_profile/profile_c01_matsuno.html