Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
昨年開発した、密度汎関数法(DFT)と拡張アンサンブル法を合体した手法は、大変有効であるが、計算時間が多くかかるという難点があった。よって、密度汎関数法の部分をタイトバインディング法(DFTB)で置き換えた新手法を開発した。これによって、大規模分子系でもDFTの場合より、大幅な計算時間の短縮が可能となった。特に、本申請の最終目標である、酵素分子と水分子の存在下でのATPの加水分解に関する計算に適した手法の開発に成功したと言える。また、拡張アンサンブル法の方は、焼き戻し傘サンプル法(simulated tempering umbrella sampling)からレプリカ交換傘サンプル法(replica-exchange umbrella sampling)に置き換えた。これによって、手法の汎用性が更に高まった。この新手法を以前と同じ、水中のマロンアルデヒドのプロトン移動の自由エネルギー計算に適用して、その有効性を確かめているところである。この系での計算の有効性が確かめられたならば、予定していた水中のATPの加水分解の計算を始める予定である。ATPの計算に移る場合、拡張アンサンブル法としては、まず、レプリカ交換分子動力学法を適用し、それで、うまく行けば、レプリカ交換傘サンプル法で置き換える予定である。そして、十分なデータが得られたら、加水分解の自由エネルギーを計算し、実験結果と直接比較する。そして、いよいよ、酵素分子と水分子の存在下でのATPの加水分解の拡張アンサンブルシミュレーションの準備を始める。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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