Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
ストレンジネスが関与する実験では数cmの範囲で注目する事象が完結する。反応点近傍の粒子の軌跡や崩壊後の粒子群を狭い空間で、かつ、ビーム強度に対応した速さで認識し検出する技術が重要となる。本研究は、これまでの科研費による成果を踏まえ、現在の画像受け入れ能力の上限である毎秒100000枚を画期的に越える超高速イメージ撮像管を完成させることを目的とした。これまでの試作機では、入力側の窓材には「石英ガラス」を、入射光により光電子を発生させる光電陰極には「金」をメッキしたメッシュ電極を使用していた。撮像管としてとの動作はこれらの素材で確認できるものの、入射位置依存性や位置分解能などの性能の評価は、石英ガラスのままでは行えない。非常に重要となる次の二つの項目において、超高速イメージ撮像管の改良を行った。[1]入射側の窓材に、光の入射位置情報を保持する「ファイバーフェースプレート」を採用する。ファイバーフェースプレートは450nmより長い波長の光を透過する。そのため、仕事関数が4.9eVと高い金は、ファイバーフェースプレートを透過する光に対しては、光電子を発生することができず光電陰極として使えない。[2]空気中で取り扱いが可能であり、仕事関数が2.8eVより低い素材を光電陰極に採用しファイバーフェースプレート上に成膜する。近年タングステンに添加剤として使用されている「酸化ネオジム」は、仕事関数が2.3eVと適している。金属ネオジムを真空中でスパッタリングすることにより酸化ネオジムをファイバーフェースプレート上に成膜させることに成功した。これらの改良により、位置分解能などの基本性能を評価することができる超高速イメージ撮像管を製作することができた。今後、J-PARC で実施予定のハイペロン-陽子散乱実験、および、ダブルハイパー核の探索実験などへの適用を試みる。
27年度が最終年度であるため、記入しない。