Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
遷移金属錯体を用いた不活性な分子や結合の直接的官能基化の開発は、究極的な直截的物質変換を可能とするため現在最も注目され、その開発・確立が望まれている課題の一つである。本研究課題では、地殻中に豊富に存在するため安価かつ入手容易であり、人体をはじめとする生体などの環境への付加の少ない鉄に注目し、高い反応性を示す鉄錯体を精緻に設計・合成することで、不活性な結合の活性化・変換を達成することを目的としている。一連の研究において特に、鉄中心に強く電子供与するため高反応性錯体を与え、かつ結合活性化における鍵中間体として機能しうる高原子価中間体を安定化しうるキレート型ケイ素配位子に着目し、これを有する高反応性鉄錯体の構築と不活性結合活性化への展開を行ってきた。本年度は、最近開発した1,2-bis(dimethylsilyl)benzeneをジアニオン性キレート型ケイ素配位子として持つ高反応性鉄(II)錯体(1)が、ヒドロシランを還元剤とする種々のカルボニル化合物の還元反応に対し高い触媒活性を示す点に注目し、錯体1を触媒として用い、ヒドロシランをケイ素源とする、indoleのC-H結合シリル化へと展開した。その結果、錯体(1)はindoleのC-3位のC-H結合の選択的なシリル化が可能であることを見出した。この反応において、C-2位シリル化等の他の副反応は全く進行しない。また、indoleの5位にOMeやCl基を持つ基質を用いても反応は効率的に進行し、対応するC-3位シリル化体を選択的に高収率で与えることを見出し、基質適用範囲の広い反応であることも明らかにした。同様の反応を一般的な鉄(0)カルボニル錯体であるFe(CO)5やFe3(CO)12を触媒として用いてもほとんど進行しないことから、錯体(1)が配位不飽和活性種を効果的に発生しうることが、反応を高効率的に進行する鍵であることが分かった。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2014 2013
All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 2 results, Acknowledgement Compliant: 1 results) Presentation (10 results) (of which Invited: 3 results) Book (1 results)
Organometallics
Volume: 33 Issue: 21 Pages: 5936-5939
10.1021/om500794f
Dalton. Trans.
Volume: 42 Issue: 48 Pages: 16687-16692
10.1039/c3dt52598h