Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
近年に全球モデルが高解像度化(格子間隔が数十km)しており、また、多様なメソ低気圧(サイズが数百km)の知見が蓄積されてきたという背景を受け、本課題ではモデルデータから低気圧を客観的に検出するトラッキング手法を開発し、メソ低気圧の気候学を構築することを目指した。特に2年間の期間で目標に据えたのは、冬季に日本海上で発達するポーラーロウというメソ低気圧である。昨年度にはメソ低気圧を検出することに成功し、また、比較のための観測データの情報を収集することができた。最終年度に当たる本年度は、検出された低気圧のうちポーラーロウだけを分類する手法の開発に取り組んだ。研究者からの助言や先行研究を参考にし、海面水温と上層大気の温度差を指標して使うことで、日本海上のポーラーロウの多くを分類できることを確認できた。この手法をJRA-55再解析データに適用し、過去35年分のポーラーロウの経路や季節頻度を作成することができた。さらに海域と移動方向の傾向を詳細に調べることにより、日本海上のポーラーロウを南下するグループと東進するグループに大きく分けられることを明らかにした。ポーラーロウが発達する時の総観場を解析したところ、ポーラーロウの東側にはより大きなスケールの温帯低気圧があり、ポーラーロウの上層には寒気を伴ったトラフがある、という過去の事例研究で指摘されていた特徴を統計的に示すことができた。また、ポーラーロウが発達するタイミングには、日本海で多くの熱や水蒸気が海面から大気に供給されていることも示された。これらの結果をEuropean Geosciences UnionやEuropean Storms Workshopなど、ポーラーロウの研究が盛んなヨーロッパの学会で発表し、多くの研究者からの助言を反映させた後、アメリカ気象学会のJournal of Climate誌に投稿した。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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http://dpo.aori.u-tokyo.ac.jp/dmmg/people/yanase/paper.html