Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
心臓の発生過程において、房室管および流出路領域の内皮細胞は間葉細胞へと形質転換(Endothelial-Mesenchymal Transformation; EMT)して、心内膜床と呼ばれる一対の隆起を形成する。この心内膜床は心臓中隔や弁へと分化することが知られており、4腔を持つ正常な心臓を形成するために非常に重要な組織である。これまでの研究により、心内膜床を形成するためのEMTはNotch、VEGF、TGF-beta/BMPなどによる様々なシグナル伝達経路によって制御されていることが報告されているが、その詳細なメカニズムはほとんど解明されていない。今回、我々は、Notchシグナル陽性細胞を追跡することが可能な遺伝子組換えマウスを用いて、NotchシグナルがONになった細胞の運命についての研究を行った。これまでの研究では、Notchシグナル陽性細胞がEMTを起こして間葉細胞になると考えられていた。しかしながら、当該マウスを用いた実験では、内皮細胞にのみNotch陽性細胞が認められ、間葉細胞には認められなかったことから、これまでの定説とは逆に、Notchシグナルは内皮の形態維持に働くことが示唆された。この内皮形態の維持に働くNotchシグナルの分子メカニズムを解明するために、我々は、Notchの下流ターゲット因子とされるHrt転写因子に注目し実験を進めてきた。Hrt転写因子は心内膜床形成領域の内皮細胞に発現し、このHrtをノックアウトすると心内膜床形成不全となることを見出した。しかし、心内膜床形成領域におけるHrt転写因子の発現パターンはNotchレポーターマウスの発現パターンとは一致しなかったことから、HrtはNotchシグナル陰性細胞(例えばシグナルを送る側のDll4発現細胞)に発現し、EMTの誘導に関与することが示唆された。これらの結果により、これまでの心内膜床形成メカニズムの概念を覆しEMT調節の新しいメカニズムを提示できる可能性が高くなった。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Developmental Dynamics
Volume: 244 Issue: 1 Pages: 31-42
10.1002/dvdy.24216
Genesis
Volume: 52 Issue: 11 Pages: 897-906
10.1002/dvg.22825