Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
[研究目的]ウイルスはその増殖過程で様々な宿主因子を略奪利用する。しかし、その分子機構はその宿主因子ごとあるいはステップごとに単独理解されているだけであり、ウイルス複製を連続性をもつ宿主因子の動員として理解できていない。H25年度は、HIV複製の後期過程である粒子形成過程の宿主分子機構を解析した。H26年度は、その子孫HIV粒子出芽と次の標的細胞への伝播の相関と、その分子機構を解析することを目的とした。[研究結果]HIV感染細胞と非感染細胞の細胞接触は非常に効率よくHIV感染を伝播することが知られている。この細胞接触部位には「感染(あるいはウイルス)シナプス」と呼ばれ、感染細胞(ドナー細胞)側ではHIV構成成分が、標的細胞側ではHIV受容体(CD4, CCR5)が集積することが示唆されている。HIV感染に伴う宿主因子群の発現変動と局在変化を解析したところ、感染細胞ではESCRT経路のHRSやTSG101(HIV粒子出芽の責任宿主因子)、テトラスパニン分子(CD63, CD81等)が発現増加し、粒子出芽部位に集積することが判明した。また、細胞接着や走化性に関する接着因子群(Selectin, LFA1)やケモカイン受容体(CXCR4, CCR7)の発現も増加した。細胞運動性を調べたところ、感染に伴って細胞接着性が亢進し運動性は低下したが、仮足形成が活発であった。感染細胞では、粒子形成・出芽に必要とされる宿主因子群が(おそらく代償的に)発現増強して出芽部位に動員されるとともに、感染細胞は走化性や細胞接着を高めて、次の標的細胞を見つけ捕捉する可能性が推測された。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Volume: 88 Issue: 17 Pages: 10039-10055
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http://10.0.99.117/lisci/life/chart/LSI-lab12.html