Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
肺炎マイコプラズマの滑走運動メカニズムを理解するために、滑走運動に必須な P1 とP30 タンパク質の構造解析研究を進めた。P1とP30はそれぞれ170kDaと30kDaの大きさで、この菌の接着滑走器官の表面に存在している。P1は細胞接着タンパク質であるが、P30の機能はよくわかっていない。大腸菌でこれらの組換えタンパク質を発現させ、大量調製を行った。P1は分解産物の混入もあり、当初、高純度な精製が困難だったが、条件検討によって結晶化スクリーニングが可能なレベルのサンプルを得た。組換えP1は、シアル酸オリゴ糖に結合する活性も見られ、天然のP1に近い構造をもつと推定された。組換えP1とP30について結晶化スクリーニングを実施したが、どちらも結晶は得られなかった。P1は2つの断片に分けて結晶化も試みたが、研究期間内に結晶は得られなかった。組換えP1とP30を X線溶液散乱法で調べると、P1は単量体であり、長さが13nm、幅が6.5nm程度の分子形状をしていると予測された。これは電子顕微鏡によるP1の観察像に近い形状だった。一方、P30は Kratky プロットできれいなピークが現れない disorder なタンパク質であり、天然変性タンパク質である可能性が考えられた。今回、P30に対するモノクローナル抗体も複数調製したが、抗P1モノクロ抗体のように細胞接着と滑走運動を阻害するモノクロ抗体は得られなかった。今回の研究でも細胞接着と滑走運動におけるP30タンパク質の役割は明確にならなかった。本研究で大きな目標としたP1とP30タンパク質の結晶構造解析は実現しなかったが、以前は困難だったP1の大量調製法が確立できたことと、X線溶液散乱法でP1の分子形状を予測できたことは価値ある成果だった。また、抗P30モノクロ抗体は肺炎マイコプラズマの検出検査法には有効利用できると考えられた。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2015 2014 2013
All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (4 results)
Appl Environ Microbiol
Volume: 80 Issue: 22 Pages: 6954-6964
10.1128/aem.02134-14