Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
増殖期の未分化な細胞は静止膜電位が浅く脱分極傾向にあるが、最終分化した細胞では分極していることが様々な組織の細胞で報告されている。神経細胞、すなわち興奮性細胞の一つである小脳顆粒細胞の膜電位の変化は細胞内カルシウム濃度を伴いダイナミックな形態変化や遺伝子発現の変化を引き起こす。細胞内カルシウム濃度の変化による遺伝子発現制御と静止膜電位の関係を明らかにするため、小脳顆粒細胞でカルシニュリンに結合する因子として同定したcalcipressinの役割と制御メカニズムを検討した。小脳顆粒細胞の初代培養系にsiRNAを導入して、遺伝子発現への影響を検討した結果、calcipressinのノックダウンはGABAa6をはじめとする一連の成熟遺伝子の発現を抑制し、NR2Bなどの一連の未成熟遺伝子の発現を上昇させた。この際、転写因子Etv1の発現レベルも抑えられたことから、calcipressinは転写因子Etv1を介した成熟遺伝子の発現と未成熟遺伝子の発現抑制をコントロールしていると考えられた。また、calcipressinの発現は脱分極条件下での培養でもほとんど影響を受けず、活動電位の影響も受けにくく、Etv1依存性も低いことから、calcipressinは、遺伝子発現による制御よりもリン酸化等の蛋白質の修飾による制御によりCaNの活性を制御し、その結果、BDNF-TrkB-ERKシグナルによるEtv-1のリン酸化が引き起こされ、静止膜電位の非脱分極化と活動電位依存的遺伝子発現制御が起こると考えられる。非興奮性細胞においても同様にカルシウムシグナル等の細胞内シグナルの調節が静止膜電位の非脱分極化の引き金となり、分化・成熟が制御されているのではないかと考える。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2014
All Presentation (2 results)