Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
ヒメツリガネゴケにおいて、オートファジー関連遺伝子の一つであるATG5遺伝子を破壊した株(atg5株)を作製した。その表現型を調べ、I.原糸体が暗所で引き起こす老化(細胞死)においては、atg5株は野生株に比べて早く細胞死を引き起こす;II.乾燥ストレスにより野生株は細胞死を引き起こすが、atg5株は乾燥に耐性を示すことを見出した。本研究では、これらの現象をさらに詳しく調べた。(1)原糸体コロニーを暗所に置いたときに誘導される細胞死は、タンパク質合成阻害剤シクロヘキシミドによって阻害された。すなわち、ヒメツリガネゴケ原糸体の暗誘導細胞死は、高等植物の緑葉が暗所で起こす老化と同様にタンパク質合成を必要とするプログラムされた現象であると考えられる。(2)ヒメツリガネゴケ原糸体の暗誘導細胞死の過程では、SAG12などの高等植物の老化過程で発現上昇することが知られている老化マーカー遺伝子が発現上昇すること、老化を早く引き起こすatg5株では野生株よりもこれらマーカー遺伝子の発現上昇が早く起こることを明らかにした。(3)乾燥ストレスを与える際の乾燥時間を24時間から1時間にまで短くしても、その後のコロニーの生死はほぼ影響を受けなかった。このことは、含水率がほぼ0になる脱水過程、含水率0の状態での乾燥時間、含水率0から元の含水率に戻る吸水過程という3つの過程の中で、吸水過程が細胞死に大きく影響を与えていることを示している。(4)吸水過程でいくつかのATG遺伝子の発現が上昇した。さらに、吸水過程の原糸体をオートファジー阻害剤3-methyladenineで処理すると細胞死を起こす細胞の割合は減少した。このことは、吸水過程でマクロオートファジーが活性化しており、これが細胞死と密接に関係していることを示唆している。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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