Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
生物は環境要因に応じて表現型を可塑的に変化させる表現型可塑性を持っている。表現型可塑性は生物の環境適応や形質進化を理解する上で重要な性質であるが、その遺伝学的あるいは分子発生学的基盤についての知見は少ない。本研究では昆虫アブラムシの繁殖多型を材料に、性発現や発生様式を制御するゲノムアダプテーションの仕組みの解明を目指す。アブラムシは春から秋にかけて胎生単為生殖によって繁殖するが、晩秋になると季節変化(短日化)に応答し有性生殖世代が出現する。アブラムシの性決定様式は雄ヘテロXO型であり、メス親は環境依存的に染色体分配様式を改変し、仔虫のX染色体を選択的に失わせることでXO型の雄を産出する。先行研究より単為発生卵がオスになるかメスになるかは卵成熟過程のgermarium(胚腺)内で決定されると考えられている。そこで我々は胚腺のトランスクリプトーム解析で、雌雄産み分け機構の解明を試みた。胎生メス、卵生メス、オスのそれぞれのモルフのみを産出するアブラムシを誘導し、各モルフの卵巣を摘出し、レーザーキャプチャーマイクロダイセクションによって単離した胚腺から得られた微量RNAを増幅後RNA-seq解析を行った。その結果、染色体放出が生じるオス産出カテゴリでは他のカテゴリと比べて、約750~1650この遺伝子が有意に発現変動していた。そして、複数あるヒストンのパラログやアブラムシ特異的な重複遺伝子のモルフ特異的「使い分け」が見いだされた。遺伝子重複がアブラムシの複雑な生活史進化の原動力となった可能性がある。いくつかの遺伝子については、in situ ハイブリダイゼーションで時空間的な発現パターンを確認した。また、これらの遺伝子がどのように進化してきたのかを明らかにするために、アブラムシの姉妹群で原始的な形質を多く残すネアブラムシのゲノム解読およびトランスクリプトーム解析を行った。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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