Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
当初はIMF-001の標的情報なしに研究を推進する予定だったが、他の解析によって標的蛋白の興味深い情報が得られたため、本研究のアプローチとそれらを発展的に統合し、標的蛋白解明を通じて研究目的の達成を行うこととした。まずIMF-001によって誘導される遺伝子パターンについてさらに深く解析したところ、興味深いことにIMF-001処理によって Hela細胞中でTLR経路が活性化していることが新たに示唆された。実際、Hela細胞をネクローシスさせた細胞は、TLR経路を強く活性化するリガンドになることも確認できたことから、IMF-001処理で死んだ細胞が生きているHela細胞のTLR経路を活性化することが示唆された。そのため、IMF-001の直接の作用を解析するにはこのような二次的な遺伝子誘導を除外して解析する必要があることが分かった。そこで、がん細胞死を誘導する濃度と誘導しない濃度の遺伝子発現パターンを比較し、濃度依存性がある遺伝子(細胞死が起こらない濃度でも誘導される遺伝子)を抽出し、その遺伝子発現パターンと類似の遺伝子発現パターン示す既知化合物をデータベースから検索し、それらの標的蛋白からIMF-001の標的予測を行った。また、他の研究課題で推進されていた検討からIMF-001結合蛋白情報、IMF-001の類似化合物とその標的蛋白情報を利用し、それぞれの解析におけるIMF-001の標的蛋白候補をリスト化した。さらにその中でTLRシグナルに関わる既知の蛋白に結合する可能性のある蛋白をデータベース情報から特定した。これらの解析を総合してIMF-001の標的候補の絞り込みを行ったところ、その中にはがん細胞死やTLRシグナルとの関連が全く分かっていない蛋白が含まれていた。そのため今後、これら蛋白の解析を推進することで、新しいがん抑制機構の発見に繋がることが強く期待される。また、上記のIMF-001標的蛋白の解析は、一般的な薬剤の新しい標的探索法としても有効だと考えられる。
26年度が最終年度であるため、記入しない。