Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
近年、粒子径100nm以下の素材であるナノマテリアルが、医療・食品・工業など様々な分野における画期的素材として汎用されつつあるものの、世界的にナノ毒性に対する安全性懸念が高まっている。特に最も肝心な、安全性・動態情報は未だ乏しい。そこで本研究では、粒子径・表面物性の異なる様々なナノマテリアルを用い、1粒子の細胞内動態を経時的に観察することで、細胞内動態情報のモデル化を試みた。平成25年度には、斜光照明顕微鏡により、粒子径300nmおよび1000nmのシリカ粒子と比べ、粒子径70nmのナノサイズの粒子であるnSP70は細胞内で素早く運動していることを見出した。さらに、これら粒子がエンドサイトーシスで取り込まれているが、細胞内でエンドソームは微小管に依存して運動していることが知られている。そこで平成26年度には、粒子径により細胞内挙動が異なるメカニズムの解明を目指し、エンドソームへの内包が粒子の挙動に与える影響の評価を試みた。ヒト肺胞癌細胞株(A549細胞)に、蛍光修飾された粒子径の異なる非晶質シリカを添加し、細胞内における局在をエンドソームマーカーの免疫染色により解析した。その結果、サブミクロンサイズの粒子は初期/後期エンドソームへの局在が多く認められるのに対し、ナノサイズのnSP70は後期エンドソームやリソソームへの局在が認められた。次に、エンドソームの細胞内輸送に重要である微小管が、粒子の運動に与える影響を評価した。その結果、微小管の重合阻害剤であるノコタゾールにより、微小管の機能を阻害することで、nSP70の細胞内運動の抑制が認められた。以上の結果から、エンドソームは異なるサイズの粒子を内包することで成熟過程が変化し、ナノサイズの粒子は成熟の進んだエンドソームが示す微小管依存的な能動運動により、細胞内を輸送されている可能性が考えられた。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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