Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Transformative Research Areas (A)
この研究は、カイラル構造を持つ物質に温度勾配を与え、核磁気共鳴法(NMR)を用いて音響モードカイラルフォノンの観測を試みるものである。カイラルフォノンは結晶の格子系に角運動量を付与し、小さな磁場として観測される可能性があるが、その詳細なメカニズムは未解明である。実験では電子スピンの影響を排除するため、バンド絶縁体やスピン一重項状態を持つ物質を使用し、核緩和機構がフォノンに由来することを検証する。さらに、NMRスペクトルや信号解析を通じて角運動量が磁気的性質を持つか、格子系にコヒーレントな状態を作るかを調べる。この研究は、カイラルフォノンの物性解明や新たな物理現象の発見につながる可能性がある。