Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
東南アジア新興国は、政府主導の開発戦略で著しい経済発展を遂げた。しかしながら、先進国入りを前に「中所得国の罠」、国内格差、社会保障など山積みの政治的課題に苦闘している。問題解決のための新しい経済発展のシナリオづくりに向けては、自国の経済構造がいかなるものかの再考と、社会の構成員間の社会的政治的調整の理解、すなわち総合的なポリティカル・エコノミーによる分析が重要と考える。このような視座にもとづいて、本研究では、申請者の研究蓄積があるマレーシア、隣国タイ、新興国予備軍インドネシア3国の国家間比較を行うことを目的とした。平成26度における貿易の国際比較優位の分析より、高付加価値化が進んでいる産業としてゴム産業を、具体的な調査国としてマレーシアを中心にタイとの比較を選定し、調査を開始した。平成27年度においては、前年に引き続き、マレーシアおよびタイのゴム産業について現地調査および文献調査を行った。マレーシアでは、経済停滞の中にあって急速に台頭しているゴム手袋企業を中心に、ゴム製造業のイノベーションに焦点をあてて企業、学識経験者、政府の研究機関などにおいて聞き取り調査を行った。タイでは、同国のゴム産業のヴァリューチェーンに着目し、マレーシアの調査・分析の比較材料を提供することとした。その結果、天然資源が豊かな東南アジア新興国においては、天然資源を自国で高付加価値化するために自国にあった技術発展(いわゆるイノベーション、そのためのR&D)が不可欠であること、発展国の海外企業との競争においては、すき間産業やOEMなどニッチを狙うことで経済成長の可能性があること、さらにそのための先を見据えた産業政策、R&D、人的資本の発展が重要であることが明らかになった。研究成果の一部は、近日中に本の一章(英語版)として刊行の予定となっている。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2015 2014
All Presentation (9 results) (of which Int'l Joint Research: 2 results)