Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
グラフェン(およびグラファイト系炭素)の反応性の起源が局所的に現れる非結合性pz軌道であるという概念を我々は提案している。窒素ドープグラファイトを走査トンネル分光(STS)で測定すると、窒素種の近傍に非結合性pz軌道が出現し、さらに窒素種によって非結合性pz軌道がフェルミレベルより低エネルギー側や高エネルギー側にシフトすることを見出した。本研究では、ホウ素ドープグラフェンの局所電子状態を調べることを目的としている。初年度は、種々のホウ素種の作り分けを検討した。第一に我々が窒素ドープグラフェンの解析で培ってきたドープ方法(イオン衝撃法)、第二にグラフェン粉末に酸化ホウ素を反応させる方法を用いてホウ素をドープすることにした。特にホウ素のみをグラフェンに任意の運動エネルギー(1 eV~1.5 keV)で照射可能なイオン銃の製作に集中した。このイオン銃はプラズマを用いたイオン化部、ウィーンフィルタと呼ばれる電磁石を用いたイオン質量選別部、イオン極性選別部、および超低速エネルギー制御部から構成される。本イオン銃はBとCの結合エネルギー程度の(数eV)から1.5 keVまでの高範囲で衝突エネルギーを制御できるため、高精度にドーパントであるホウ素の配位構造を制御することができ、ホウ素種の良く定義されたホウ素ドープグラフェンの調製できる。2年目には、BCl3をイオン化後B+イオンとB2+イオンに選別し、かつエネルギーを制御して照射することができた。その結果、B原子のみドープすることに成功した。ドープされたBはXPSによって同定され、BC3が表面に生成することがわかった。グラファイトにドープされたB原子は大気中で容易に酸素種と反応することが明らかとなった。今後は電子状態と反応性を調べる予定である。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2015
All Presentation (2 results) (of which Invited: 2 results)