Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
本研究では極性直線炭素鎖分子であるポリインH(C≡C)nH, (n=4~8) の最低変角振動遷移をALMA望遠鏡で探査するために、量子化学計算による理論予想的に基づいて、実験室での分光測定研究を行った。実験的アプローチとしては、ポリインを作成するために、ヘキサン溶媒中の炭素粒子にパルスYAGレーザーを照射する光有機合成反応を用いた。合成した試料の同定と定量はUV吸収を用いてモニターし、nが5以上のポリインの生成条件を最適化した。次に、ポリインの実験室分光測定では必須となる分子ジェットによる回転温度の冷却を試みたが、ポリインの蒸気圧がヘキサンより小さいので、ポリインが測定領域に供給できていないことが分かった。この問題を解決するために、ポリインの蒸気圧をnごとに調べる実験をおこない、ヘキサンに代わる溶媒として、流動パラフィンを選択した。さらに、ポリインの光合成段階で流動パラフィンを溶媒としてもヘキサンと比べて質・量ともに遜色ないことが分かったので、パラフィンを溶媒として合成することとした。理論的アプローチとしては、ポリイン(n=2~9)の最低変角振動モードの周波数と遷移強度を予想するために、VSCF法による非調和性を考慮した振動解析をおこなった。その結果、振動数はnが大きくなるにしたがって1/n2で急速に小さくなることを見いだし、その理由を理論的に説明した。また、遷移モーメントは0.1 Debyeと計算され、赤外活性バンドとして十分な強度を持つことが分かった。また振動回転相互作用を考慮した振動励起状態の分子定数を算出し、分子雲の環境を想定した発光スペクトルをシミュレートしたところ、n=7, 8, 9がALMAの観測窓に入っていることを確認すると共に、Q枝がバンドオリジンで集中し強め会う特徴的なパターンを示すことを見いだし、これがが今後の微弱なスペクトル検出の鍵となるとした。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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