Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
正常ステロール組成は,あらゆる生物の発生・発達に不可欠である.しかし「正常ステロール組成」の明確な定義は無く,個々のステロールが担う生理機能も未解明である.植物ステロールは側鎖C24位メチル化レベルが異なるC24-メチルステロールと C24-エチルステロールに大別され, 24-メチルステロールと C24-エチルステロールの比を「ステロール組成」と定義しうる.C24位メチル化は,2種のメチル基転移酵素(SMT)が決定する.第1段階SMT1は,菌類から高等植物まで広く保存され,第2段階は多細胞植物特異的なSMT2が触媒する.すなわちSMT2は,植物「ステロール組成」に直接的に関与する.従来,生合成の完全破綻した変異体の解析が主であり,ステロールの生理機能解明は困難であった.本研究では, C 24-エチルステロール生合成能だけ失った変異体を作出し, C24-エチルステロールが担う細胞生物学的機能の解明を目的とした.シロイヌナズナSMT2をコードするSMT2とSMT3の二重変異系統(smt2 smt3)を樹立した. C24-エチルステロール欠損は,オーキシン輸送体の局在性破綻によるオーキシンの組織内分布の撹乱により,発生・発達の阻害に至ると考えられた. C24-エチルステロールは,C24-メチルステロールでは代替できず,極微量C24-エチルステロールが,オーキシン輸送および細胞分裂の制御に関わる未同定の分子機構に必須の役割を担うことを示された.すなわち,多細胞植物が特異的に産生するC24-エチルステロールが,細胞分裂面の決定機構と細胞分裂方向の維持に関わり,正常なボディプラン形成が進行することが示された. SMT2遺伝子の多細胞植物特異的な多様化によるC24エチルステロール合成能獲得が,多細胞植物の体軸決定において必須の要因であったことと考えられる.
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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All Int'l Joint Research (1 results) Journal Article (1 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results, Peer Reviewed: 1 results, Acknowledgement Compliant: 1 results) Presentation (5 results)
The Plant Journal
Volume: 84 Issue: 5 Pages: 860-874
10.1111/tpj.13043