Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
種間雑種に生殖関連の障害が生じる現象である生殖隔離は、これまで生殖関連タンパク分子の種間多型などにより不和合が生じることが原因であると考えられてきたが、近年になって、生殖関連遺伝子の転写調節を担うシス領域と転写因子などのトランス分子との間の不和合によって生じる発現異常の重要性が注目されるようになった。本研究では、ドメスティカス亜種由来のマウス系統C57BL/6の遺伝的背景に、モロシヌス亜種由来のMSM 系統のX染色体を導入した生殖隔離のモデル系統(B6-ChrXTMSM)において、X染色体に大規模な発現異常がおこり、二次的にゲノム全体の発現異常が生じて、生殖隔離に伴う多様な表現型を引き起こしうることを報告した(Oka et al. PLoS Genet. 2014)。特にX染色体上の生殖関連遺伝子では、シス-トランス不和合が高頻度に起こることが示された。シス-トランス不和合は、シス領域とトランス因子の双方に多型が存在しないと説明ができない。そこでエンハンサーやプロモーターなどのシス領域の指標となるヒストン修飾(H3K4me1)のChIP-seq解析やデータベース(ENCODE)の情報、C57BL/6-MSM系統間のSNP情報を元にシス領域内の多型の比較分析を行ったが、他組織と比べて精巣のシス領域内に特に多型が多く存在する傾向はみられず、むしろX染色体にはH3K4me1ピークが少なく、SNPの頻度も極端に低いことが分かった。このことは、B6-ChrXTMSM系統由来のES細胞にはX染色体の発現異常が殆どおこらないという観察結果と矛盾しない。よって、精巣特異的に発現するトランス因子の多型がシス-トランス不和合に重要であることが示唆された。X染色体のMSMアリルと相関する染色体領域をQTL解析により探索し、1番染色体や17番染色体にトランス因子が存在することが示された。特に17番染色体には、進化速度が非常に早いことで知られる種分化遺伝子のPrdm9が存在している。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2014
All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results, Acknowledgement Compliant: 1 results) Presentation (1 results)
Genes and genetic systems
Volume: 89 Pages: 99-108