Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
ヒストンは染色体に含まれるタンパク質のおよそ半分もの質量を占める。しかし、分裂期の染色体構築においてヒストンがどのような役割を果たすのかという問題は、適切な実験方法がないため、十分な検討がなされてこなかった。本研究では、この本質的な問題を解くために、ヒストンをほとんど含まないマウスの精子クロマチンをカエルの卵抽出液中でインキュベートする無細胞系を考案した。この実験系では、ヒストンやコンデンシンなど卵由来のタンパク質をクロマチンに取り込ませ、試験管内で染色体を作ることができる。興味深いことに、ヒストンシャペロンであるAsf1を卵抽出液から除くと、ヒストンのクロマチンへの取り込みが完全に阻害された。このヒストンを含まないクロマチンは全体として凝縮度が低く不鮮明な形状を示すものの、その内部にはDAPIで強く染色される明瞭な軸が観察された。この特徴的な染色体様構造において、コンデンシンⅡはもっぱら軸に局在するのに対し、コンデンシンⅠは軸だけでなくその周囲のクロマチンループにも検出された。これらの結果から、コンデンシンⅡはヒストン非依存的に染色体軸の形成を促進するのに対し、コンデンシンⅠはヒストンと協調してクロマチンループの組織化に関与することが示唆される。また、今回考案した無細胞系を発展させることにより、DNA複製や損傷修復、核形成など、クロマチンの関与する様々な現象においても、ヒストンが果たす機能の詳細な解析が可能になると期待される。この新しい実験系の開発は、東京大学の大杉美穂博士との領域内共同研究として行った。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Nature Cell Biology
Volume: 17 Issue: 8 Pages: 1014-1023
10.1038/ncb3187
http://www.riken.jp/chromdyna/