Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
本研究課題の目的は、生起時間の異なる2つの事象を連合学習するような神経構造を提案することであった。10秒から120秒程度の長い時間の知覚の研究を、ラットを対象に進めてきた。後部帯状皮質の広くに分布する錐体細胞層には、形態学的特徴(樹状突起束)および発火的特徴(遅延発火性:LS細胞)を備えた特徴的な細胞群が存在する。これらのLS細胞群が有する「遅延性」がどのような時間回路を構成し、どのような時間処理課題に寄与するか、について解明した。まず、細胞および回路レベルにおけるLS細胞の機能解明には、光学イメージング法を用いた。特に、視床前核および海馬体からの入力情報を再現した際の情報処理を可視化するとともに、高倍率イメージングシステムを導入することにより、LS細胞に焦点を合わせた詳細な遅延メカニズムの解明に取り組んだ。また、パッチクランプ法を用いることで、LS細胞が秒単位で遅延するメカニズムを解明した。次に、時間課題(痕跡条件づけや時間弁別課題など)遂行中のラットについて、時間行動とLS細胞の関係性を検証した。具体的には、LS細胞を破壊した際の時間課題への影響や、課題中のLS細胞からの記録を試みた。以上のように、長い時間を緩衝するための機能が後部帯状回に含まれる後脳梁膨大部を中心とした神経回路により実現可能であることを、私たちは示すことができた。後脳梁膨大部は、視床と海馬から入力を受ける。この浅層には遅延発火性ニューロンがあり、これらのニューロンがカスケード結合を示す。視床からの感覚入力を浅層で受け、任意のカスケードを経て中間層に至るニューロンと、深層から入り情動入力を運ぶ海馬体ニューロンからの側枝が、同時に中間層の出力ニューロンを駆動することで、時間遅れを緩衝する回路が実現できる。本研究から提唱されたこのモデルを遅延カスケードモデルと呼ぶ。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2015 2014
All Presentation (3 results)