Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
皮膚から触覚刺激が伝える信号が脳に到達するまでの時間(伝導遅延)は各身体部位から脳までの距離によって異なる。本研究は、脳がこの伝導遅延時差を積極的に利用し、身体上の距離を計算しているという「伝導遅延時差による身体上距離符号化仮説」の検証を目的とした。昨年度の研究では、腕上の、脳までの距離が異なる2点間に皮膚触覚刺激を与え、その2つの刺激タイミングを被験者が「同時」と知覚するタイミングを操作した(時間順序判断の偏向)。すると触覚入力のタイミングの知覚が距離の知覚に反映されているという結果が示された。本年度は、上肢切断患者の失われた身体像を、上述と同じ手法を用いて回復させる実験に取り組んだ。上肢切断患者は、物理的には存在しない上肢を知覚する(幻肢)。上肢切断当初はこの幻肢は、もとあった上肢と同じ長さを保つが、次第に縮小し、指の位置が切断部に空間的に非常に近く感じるようになる。本研究では、切断によって生じた伝導遅延情報の混乱が幻肢の縮小を招いたと仮説する。そして、距離に対応した「正しい」伝導遅延を再学習させてやることで、幻肢がもとの長さを回復させるかに挑戦した。この研究は国立障碍者リハビリテーションセンターの河島則天室長の協力を得て行った。1)ソレノイド電極で切断部を刺激すると、痛みを引き起こすことなく、実際にはない指先の知覚を引き起こすことに成功した。またその指先の位置は、もとあった位置にではなく、切断部近傍位置に知覚されることが分かった。2)「ないはずの指先」と肘の間で、上肢切断患者は時間順序判断を行うことができた。また、時間順序判断に偏向を引き起こすことに成功した。3)健常者と同様に、時間順序判断の偏向は指先位置が空間的に遠位に感じさせる例を観察することができた(切断位置に依存)以上より、上肢切断患者の身体像を刺激タイミングの操作によって変容しうる可能性を示すことができた。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2016 2015 2014 Other
All Int'l Joint Research (1 results) Journal Article (5 results) (of which Int'l Joint Research: 2 results, Peer Reviewed: 3 results, Open Access: 3 results, Acknowledgement Compliant: 2 results) Presentation (8 results) (of which Int'l Joint Research: 2 results, Invited: 4 results) Book (2 results) Remarks (1 results)
Cerebral Cortex
Volume: 26 Issue: 1 Pages: 440-449
10.1093/cercor/bhv262
臨床思考を踏まえる理学療法プラクティス 第6巻 「感覚入力で挑む―感覚・運動機能回復のための理学療法アプローチ」
Volume: 6 Pages: 204-214
European Journal of Neuroscience
Volume: 42 Issue: 10 Pages: 2851-2859
10.1111/ejn.13063
Proceedings of the Royal Society B
Volume: 282 Issue: 1805 Pages: 20150381-20150381
10.1098/rspb.2015.0381
細胞工学
Volume: 34 Pages: 653-657
https://cinet.jp/english/people/20141249/