2023 Fiscal Year Comments on the Screening Results
マルチメッセンジャー宇宙物理学:静的な宇宙から躍動する宇宙へ
Project Area (Abbreviation) | 全粒子宇宙 |
Project/Area Number |
23A205
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Research Category |
Grant-in-Aid for Transformative Research Areas (A)
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Area Organizer |
吉田 滋 千葉大学, ハドロン宇宙国際研究センター, 教授 (00272518)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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Summary of the Research Project |
ブラックホールの強大な重力が生み出す重力エネルギーは、ビッグバン以降、宇宙の主たるエネルギー源であり、ブラックホールの成長、物質の起源である元素の合成、人類未踏の膨大なエネルギーを持つ超高エネルギー宇宙線原子核の生成などを駆動する、宇宙の多様性の源である。しかし、その現場は周囲の高密度物質に隠され、こうした極限宇宙現象の起源は大きな謎である。本提案では、近年圧倒的に進展した、透過力に優れるニュートリノ・重力波宇宙観測と伝統的な電磁波観測を融合するマルチメッセンジャー観測を推進し、強大な重力場が作り出す超高密度火の玉プラズマの成長過程から、元素合成・高エネルギー放射に至る、重力エネルギーの最終運命を統一的に理解する。なぜ宇宙はこれほど多様で躍動的なのか、異なる専門的背景を持つ多様な研究者集団による新しい研究分野から解き明かす。
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Outline of Opinions Expressed in the Review Results |
ニュートリノ、重力波、光赤外からガンマ線の電磁波観測を融合したマルチメッセンジャー観測は、高エネルギー天体現象を通して超高密度プラズマの宇宙の生成・成長から、ブラックホール、物質の起源、元素合成、高エネルギー放射など、宇宙の様々な謎を解明する上で最も有望な手法の一つである。本研究領域は、マルチメッセンジャー観測を通して、素粒子・原子核・宇宙物理・天文学にまたがる未知の研究領域を創成を目指すもので、学術変革領域研究にふさわしい。マルチメッセンジャー宇宙物理学は、近年世界的に急速に発展している分野であり、国際競争も激しく、各分野を代表する研究者を揃えた強力なチームで本領域研究を推進し世界的な成果の創出を目指すことは、この分野における日本の地位を確立するためにも時宜を得ている。研究組織も観測、理論の両面からバランスよく計画され、次世代育成を見越した若手の研究者を中心としつつ、幅広い年代の研究者で構成されており、本研究領域の継続的な発展が期待できる。
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