2023 Fiscal Year Comments on the Screening Results
Project Area (Abbreviation) | 量子古典融合 |
Project/Area Number |
23B205
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Transformative Research Areas (B)
|
Area Organizer |
品岡 寛 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (40773023)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Summary of the Research Project |
近年、量子力学的重ね合わせを利用した指数計算加速が可能な量子コンピュータが近年急速に発展し、量子多体計算への応用が期待されている。もし、多数の電子が量子力学的に強くもつれ合うことで創発する物性を定量的に予測可能になれば、物性物理、化学に渡る基礎学理上の未解決問題や、人類が直面するエネルギー・環境問題の解決へのキーになり得る。しかし、近未来に実現されうる量子コンピュータには強いリソース制限があり、既存の量子アルゴリズムだけでは定量的物性予測は実現し得ない。本研究領域では、量子・古典コンピュータ双方の能力を最大限引き出すように、物性物理・化学・量子情報における情報圧縮法を融合した新しい第一原理計算学理の構築と、その核となる融合コミュニティ形成を行う。実証計算を通してその精度・計算性能を確立し、データ駆動科学・実験・応用数学・計算物理を含む領域拡大へ繋げる。
|
Outline of Opinions Expressed in the Review Results |
本研究領域は、高温超伝導体、希土類高性能磁石、生体内の触媒反応など量子もつれが強い強電子相関をもつ量子多体系のシミュレーションを行うため、量子・古典コンピュータ双方の能力を最大限に引き出すような第一原理計算法学理の構築を目指す魅力的な研究領域である。与えられた量子多体系を電子自由度が小さい系に有効モデル化する量子埋め込み理論、波動関数の自由度を圧縮する波動関数理論(変分モンテカルロ法、テンソルネットワーク法)、そして、情報圧縮法を改善する量子・古典融合アルゴリズムを実現する量子回路の設計を、物性物理、化学、量子情報の研究者を糾合して行うなど、計算物性物理学を牽引してきた第一線の研究者と量子アルゴリズムの分野で活躍している若手研究者が融合していることが本研究領域の強みである。従来の方法論の組み合わせに終わらせることなく、シャープな論理構築に基づく連携を図って、ブレークスルーを起こすことが期待される。
|