2023 Fiscal Year Comments on the Screening Results
コントラリアン生物学の創生:逆張り戦略がもたらす新しい社会均衡のしくみ
Project Area (Abbreviation) | 逆張り集団生物学 |
Project/Area Number |
23B302
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Transformative Research Areas (B)
|
Area Organizer |
宮本 健太郎 国立研究開発法人理化学研究所, 脳神経科学研究センター, チームリーダー (20778047)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Summary of the Research Project |
動物にとって集団化は多くの恩恵をもたらす一方、仲間との資源競争を激化させるジレンマを抱える。どのような仕組みがこのジレンマを解消し、ヒトや動物の社会を進化させてきたかは未解明だ。本領域では、他の個体とは違う行動をとる逆張り屋「コントラリアン」に着目し、その一見反集団的な存在が利己的な独立した個の集合的均衡を実現するという仮説を検証する。社会構造の異なるヒト・サル・メダカ・ハエを用い、共通行動実験パラダイムを中心にコントラリアンの行動・神経・遺伝基盤と生態学的意義を解明する。本領域により社会に属する個と集団意思決定の在り方を再定義する新学術体系を確立し、社会や組織を扱う様々な分野に波及させる。
|
Outline of Opinions Expressed in the Review Results |
本研究領域は、集団の中で多数派と異なる行動を示す個体を「コントラリアン」と定義して、その行動・神経・遺伝基盤を解明し、生態学的意義を探る。元来「外れ値」として無視されてきた逆張り個体に着目するコンセプトは新しく、学問分野に新たな変革や転換をもたらすと期待される。ハエ、メダカ、サル、ヒトと多様な解析対象に対して、共通した解析を当てはめることで、普遍的な行動原理の解明が期待できる。集団や組織における個体の振る舞いの意義を科学的に研究することにより、集団生物学、神経行動学、社会科学を含む多面的な学問分野に波及する新展開を目指してほしい。
|