2023 Fiscal Year Comments on the Screening Results
Project Area (Abbreviation) | しなやかさ生物学 |
Project/Area Number |
23B305
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Research Category |
Grant-in-Aid for Transformative Research Areas (B)
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Area Organizer |
氏原 嘉洋 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80610021)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Summary of the Research Project |
「しなやかさ」は、生命に絶対的に不可欠であるが、しなやかさを支える機構は不明である。申請者らの膜脂質の分子動態や機械受容チャネル活性に着目した研究から、細胞・個体・組織のしなやかなふるまいは、刺激受容の前段階で生じる可塑性に富むホットスポット(膜臨界場)のダイナミクスに支えられていることが明らかとなってきた。本領域では、様々なストレスに対峙し変容する能力を『しなやかさ』と定義し、しなやかさの定量化とその分子実態の解明に挑む。膜臨界場形成のしくみの解明に基づく「しなやかさ生物学」の創成により、生命はなぜ「しなやか」なのか?という生命の本質に迫り、生命科学分野全般に革新的な新概念の提唱を目指す。
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Outline of Opinions Expressed in the Review Results |
本研究領域は、細胞を刺激応答する際の細胞膜脂質、構造の変化や、イオンチャネルの挙動を観察する技術を開発し、領域代表者らが取り組んできた計測系を用いて機械刺激による細胞応答を明らかにすることを目的としている。各種ストレスへの対応について、細胞内外をつなぐ構造としての接着や細胞骨格及び細胞膜の脂質種や分布などの微小環境「膜臨界場」に着目している点が長所である。また、これまでのストレス反応関連研究において主に対象とされてきたシグナルカスケードではなく、センシング前の状態の膜脂質および周辺構造が重要であるという視点も特徴である。これらの視点につながる研究成果を発表してきた若手研究者により計画研究組織が構成されており、連携の核となる解析手法については実績もあり優位性もある。特に、機械刺激や温度刺激によりに細胞膜の脂質構成が変化し、膜脂質感受性チャネルのPIEZOやTRPの構造が変化する結果、細胞応答が引き起こされることが示されれば、物理的刺激によるチャネル反応のメカニズムが解明されることが期待される。細胞膜可塑性はさまざまな生命現象に関与しており、研究成果に基づく波及効果は広範である。一方で、力学的解析にシミュレーションを融合させる手法の有用性に期待はあるものの、「膜臨界場」の定量化指標として容易に測定可能な一般性のあるものにできるかが課題である。
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