2024 Fiscal Year Comments on the Screening Results
脳神経マルチセルラバイオ計算の理解とバイオ超越への挑戦
Project Area (Abbreviation) | バイオ超越 |
Project/Area Number |
24A401
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Research Category |
Grant-in-Aid for Transformative Research Areas (A)
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Area Organizer |
山本 英明 東北大学, 電気通信研究所, 准教授 (10552036)
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Project Period (FY) |
2024-04-01 – 2029-03-31
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Summary of the Research Project |
神経細胞という不安定なバイオ素子に基づいて構成されながら,生物の脳は自律適応的に,そして高いエネルギー効率で高度な情報処理を実現する.このような脳の情報処理アーキテクチャの理解は生物学-工学-情報科学を横断する重要課題であるが,素子(細胞)の集団的振る舞いとシステム(脳)としての機能との関係は,いまだ“複雑系”という名のベールに隠されている.本提案では,バイオ素子を基盤とする脳の情報処理を,モデル動物脳および培養細胞を用いて解析した上で数理モデルとして記述し,システム応用へと結びつけることを目指す新たな学問領域を立ち上げる.具体的な情報処理として感覚運動学習に焦点をあて,学問的に普遍で工学的にも波及効果の高い成果へと結びつける.本領域の成果は,脳神経系の基礎理解はもちろん,計算効率が高く,頑健性・柔軟性を持つ革新的なコンピューティング技術の創成へと結びつくことが期待される.
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Outline of Opinions Expressed in the Review Results |
脳型マルチセルラシステムを基盤として、感覚・運動変換を記述する数理モデル、低消費電力のハードウェア、培養細胞によるウェットウェアを実現することで、脳神経回路の情報処理をトップダウンとボトムアップの双方向のアプローチにより理解するとともに、従来の計算機システムでは到達困難な高いエネルギー効率や学習効率を達成する「バイオ超越」と呼ぶべきブレークスルーを目指すという非常に挑戦的な研究領域である。さらに、モデル動物脳のイメージングによる計測実験や、ロボット適応制御への応用も含まれるなど、非常に包括的な研究領域となっている。個々の計画研究では、領域目標を達成するための研究課題がバランスよく配置され、学術変革領域研究(B)の研究成果を基にした研究課題を中心に準備状況も良好である。さらに、領域研究の推進を支援する拠点として、微細加工、バイオマテリアル/オープンデータベース、モデル動物実験、システム実験の4つの共通プラットフォーム拠点を計画し、領域終了後も研究成果を基に長期的な視野で運営する構想となっている。若手研究者の人材育成についても、海外アドバイザーを含む領域アドバイザーを設定して国際ネットワークの形成による体制を整備するなど十分に計画されている。
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