2025 Fiscal Year Comments on the Screening Results
Project Area (Abbreviation) | 次世代生命工学 |
Project/Area Number |
25A306
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Research Category |
Grant-in-Aid for Transformative Research Areas (A)
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Area Organizer |
高島 康弘 京都大学, iPS細胞研究所, 教授 (70469930)
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Project Period (FY) |
2025-04-01 – 2030-03-31
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Summary of the Research Project |
一見単純な細胞の集合がいかに生命としての機能を保持し発生するのか?という生命創発の謎は未だ明らかにされていない。我々は、幹細胞を用いて胚に酷似する「in vitro胚モデル」を作製することに成功し、着床前後の初期発生に関わる新知見を報告してきた。しかしin vitro胚モデルには発生能が欠如することが明らかになり、in vivo胚に本来備わる生命創発の分子実体を解明する機運が高まっている。そこで本領域では、in vivo 胚の発生能を支える仕組み「発生保証機構」の解明と、その反映による in vitro 胚モデルからの生命創発、in silicoで胚発生を再現した「デジタル胚」による摂動影響の予測、という3研究の有機的な連携により生命創発の分子実体を解明する。これによりin vivo胚への介入に限定されていた既存の生命工学を、幹細胞を起点とした生命の再構築、あるいは事前の発生能予測も可能とする「次世代生命工学」へと昇華させる。
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Outline of Opinions Expressed in the Review Results |
本研究領域は、in vivo、in vitro、in silicoの三分野の手法を融合し、発生初期過程の課題、特に発生保証機構の解明に挑むという、国際競争上も重要な次世代生命工学研究領域であり、挑戦的かつ社会的意義が高い提案である。この挑戦のために、幹細胞生物学や発生生物学、システム生物学など多様な専門性と卓越性を持つ研究者が集結し、異分野融合による革新を目指す点は高く評価できる。また、我が国が優位性を持つ幹細胞胚モデルの研究を発展させ、発生保証機構の解明や不妊治療など医療応用への貢献が期待される。現行の倫理枠組み内で実施される研究計画の妥当性も評価できる。さらに、若手研究者の育成や、国内外の情報を活用したデータ解析に基づくデジタル胚の構築は、学問的変革と社会的インパクトをもたらす可能性を秘めている。
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