2017 Fiscal Year Research-status Report
脳タンパク質老化と認知症制御に関する国際共同研究を加速するための国際活動支援
International Activities Supporting Group
Project Area | Prevention of brain protein aging and dementia |
Project/Area Number |
15K21714
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
祖父江 元 名古屋大学, 医学系研究科, 特任教授 (20148315)
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Project Period (FY) |
2015-11-06 – 2019-03-31
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Keywords | 脳タンパク質 / 認知症 / 神経変性疾患 / 国際連携 / 国際共同研究 / 国際的拠点形成 / 国際ネットワークの構築 / 若手研究者の育成 |
Outline of Annual Research Achievements |
加齢に伴う脳老化は認知症の最も強力かつ本質的要因であり、その主要な分子基盤は神経系を構成するタンパク質の生理機能の喪失および毒性・病原性の獲得による神経回路の破綻である。本領域ではこうした機能タンパク質の毒性獲得のプロセスを「脳タンパク質老化」と定義し、脳タンパク質老化を軸に、分子レベルから個体レベルまで視野に入れ、脳におけるタンパク質老化学を切り開くことを目的とする。また、国際的視野を持つ研究者育成、国際交流促進、国際共同研究の展開も重要な目的であり、平成29年度も国際活動支援班事務局、国際共同研究推進委員会、若手研究者国際交流推進委員会を設置し、国際共同研究や国際交流を推進した。若手研究者短期学会派遣・中期海外研修プログラムを策定すると共に、海外ラボや研究者との共同研究推進のために外国人招聘プログラムも併せて策定した。派遣の対象は本領域に関連する研究者で今後の拠点形成や発展に重要な役割を果たす者とし、公募による選考を行い国際共同研究推進委員会にて申請書を審査した。本年度は、のべ8名が海外の学会で発表し、1名が海外機関にて中期研修を行った。帰国後は研修レポートの提出を義務づけた。国際活動支援班事務局が軸となり、領域内研究計画と有機的に連携を行った。海外からは計12名の研究者を招聘し、新たな国際共同研究やネットワーク形成を推進した。招聘した12名の内4名は、9月に京都で開催したPACTALSとの合同会議において、また7名は11月に名古屋で開催した国際シンポジウムにおいて自身の最新成果を発表し、滞在中は研究者との情報交換に努め、その後の共同研究への展開につながった。 国際活動支援班のホームページを定期的に日本語と英語で更新し、領域内の情報共有を促進した。ニュースレターを発行すると共に平成29年度の活動を報告書としてまとめ、 本領域に関連する国際的な活動の情報を国内外に発信した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度国際活動支援班に採択された後、迅速に国際活動支援班事務局を立ち上げ、専従で研究をサポートする技術補佐員を雇用するなど、プログラム推進のための体制を整えた。また国際共同研究推進委員会と研究者若手研究者国際交流推進委員会を整備し、国際共同研究を加速させるためも体制を整えた。 平成29年度は「研究者の研究成果発表のための短期海外派遣プログラム」を利用して、のべ8名の研究者が海外の学会で研究発表を行い、「研究者の研修のための中期海外派遣プログラム」を利用して1名が本領域の研究推進と共同研究の発展につながる海外の先端 的研究施設にて研修を行った。また「海外研究者招聘プログラム」を利用し、本領域に関連する研究を世界トップレベルで推進する12名の著名な海外研究者を招聘した。うち4名は、PACTALS(Pan-Asia Consortium for Treatment and Research in ALS)との合同会議において、認知症と加齢に伴い疾患頻度の増加する関連疾患の国際共同研究推進のための取り組みについて発表や討議を行うと共に、今後の国際共同レジストリについて議論した。 また、7名の外国人研究者を11月の第2回国際会議に合わせて招聘し、本領域に関わる発表を行うと共に活発な情報交換を行い、若手のencourage、領域の活性化、新機軸の共同研究への発展、国際ネットワークの構築などに大いに貢献した。 ニュースレターを発行するとともに国際活動支援班独自のホームページを日本語・英語で定期的に更新し、日本国内のみならず海外への情報の発信や拠点の活動周知に努めた。 平成29年度の研究活動のまとめとして活動報告書を作成し、派遣・招聘プログラムを利用した研究者の報告書を写真とともに紹介すると共に、本領域が主催した国際的行事をまとめ、今後の国際共同研究の発展に向けた情報の共有化を促進した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は本領域の最終年度にあたるため、27年度、28年度、29年度に行った活動を加速し、より一層の国際共同研究を推進しつつ成果を取りまとめる。過去3年の活動を通じて深まった研究者間の情報共有を一層推進し、これまでに構築された国際連携のさらなる発展を目指す。さらには各研究を推進する上でキーとなる研究者や研究施設に関する情報を収集しつつ、新規国際共同研究や研究ネットワークの発掘、開発に務める。具体的には、イメージング製剤、研究技術・試料提携、研究情報交換、コホート構築などを軸として、欧米、アジア、オセアニアとの協力関係をより一層加速させ、さらに計画班同士の情報共有を進めることで、脳タンパク質老化学を軸として、認知症の制御を目指した国際コミュニティを形成していく。 本領域のアウトプットを加速する上で重要な共同研究施設やグループを構築し、より機能的かつ有益な国際共同研究体制を構築するとともに、次世代を担う人材を育成する。若手を中心とした異分野・得意領域融合型コミュニティ形成推進は、本領域の特徴であり、細胞からヒトに至る広範囲なレベルにおける技術や情報の交換は、本領域を発展させる重要な鍵となるため、最終年度も精力的なサポート活動を継続していく。 本領域では、次年度、Frontiers in Neuroscience - Neurodegenerationにおいて国内外から参加した22名の本領域に関わる研究者の論文をE-Bookとして発表する。また、同研究論文を冊子体としてまとめ、本領域の研究成果を国際的にアピールしていく。
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Causes of Carryover |
9月に京都で開催した新学術領域& PACTALS合同会議は、第23回世界神経学会に併せて開催したため、海外から招聘した研究者の旅費を当初予想より大幅に抑える事ができた。11月に開催した第2回国際シンポジウムは、本領域の国際活動支援班として、過去3年間で最大規模のシンポジウムであったが、運営面で工夫をしたことで会議費の支出を抑えることができた。また、海外からシニア研究者を7名招聘したが、本人都合により、航空機の片道利用またエコノミークラスの利用が発生し、旅費の支出を抑える事ができた。 また、海外派遣・招聘プログラムを利用した研究者数は、総数的には前年度並みであったが、支給額上限を30万円とする短期学会派遣利用者が多く、支給額上限を120万円とする中期研修派遣と外国人研究者招聘プログラムの利用者数が予定を下回ったため、次年度使用額が生じた。 次年度は、特に海外派遣・招聘プログラムの推進に力を入れ、国際学会での研究発表や海外の研究施設における共同研究を精力的に支援する。また、Frontiers in Neuroscience - Neurodegenerationで発表した論文を冊子体にまとめ、国内外に本領域の研究をアピールする。平成29年度と同じく、国際活動支援班独自の活動報告書を作成する共に、ニュースレターの単独発行を行う。
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Research Products
(5 results)