2020 Fiscal Year Research-status Report
ハイブリッド量子科学の進展に向けた国際活動強化支援
International Activities Supporting Group
Project Area | Science of hybrid quantum systems |
Project/Area Number |
15K21727
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
平山 祥郎 東北大学, 理学研究科, 教授 (20393754)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石橋 幸治 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 主任研究員 (30211048)
平川 一彦 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (10183097)
山口 浩司 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所, フロンティア機能物性研究部, 上席特別研究員 (60374071)
根本 香絵 国立情報学研究所, 情報学プリンシプル研究系, 教授 (80370104)
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Project Period (FY) |
2015-11-06 – 2022-03-31
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Keywords | ナノマイクロ量子系 / 新機能量子材料 / 量子効果 / 量子トランスデューサー |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は2019年度後半の国際交流がCOVID-19の影響で行えず、一部の予算を繰り越したことがあり、繰り越し分について、新学術領域「ハイブリッド量子科学」と密に連絡を取りつつハイブリッド量子科学に関連する国際共同研究を加速した。ハイブリッド量子科学の報告書の英語部分あるいはweb英語版の作成を推進するとともに、遅れていた研究について下記の活動を実施した。 電荷・スピングループではJulich研究所(ドイツ)との共同研究の一環として先方の学生が2か月間理研に滞在し、超伝導接合を持つInAsナノワイヤを共振器に結合させた系を用いてエネルギースペクトルの測定を行った。また、Eindhoven工科大学(オランダ)との共同研究において、先方にて成長されたPbTeナノワイヤに超伝導電極を付けジョセフソン接合を形成し、超伝導電流を流すことを試みた。PbTeナノワイヤの品質が空気にさらされた状態では容易に劣化することがわかり、様々なデバイスプロセスを試みたが、再現性良く超伝導電流を流すことには至らなかった。 理論グループではオンラインでインド、オーストラリア、シンガポールの研究者を招聘したセミナーを開催した。また、若手研究者を中心にオンラインでの研究発表を行なった。研究発表を共同で行っているウイーン大学、ウイーン工科大学とは、最近の研究について緊密な議論を継続した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2019年度は当初の計画以上の大変活発な国際交流が実現されていたが、2020年2月以降の国際交流がCOVID-19の影響でほぼ完全にストップしたため、電荷・スピングループ、理論グループを中心に一部予算を繰り越して国際共同研究を継続して推進する計画を立てた。一部の長期滞在を伴う国際共同研究を国のルールを守る形で実行し、電荷・スピングループでは試料の国際的なやり取りも積極的に推進した。これらの努力もあり、いくつかの国際共同研究については、遅延していたものの期待した成果が得られたが、COVID-19の影響が2020年度を通して収まることが無かったため、理論グループを中心に予定していた国際共同研究を完全に実現できないまま年度末を迎えた。その結果、理論グループでは一部予算を再度2021年度に繰り越し、共同研究の完成を目指すことになった。COVID-19の影響でやむを得ないものではあるが、このような状況から「やや遅れている。」と自己判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度に繰り越して実行した国際共同研究について、実験がうまく行かなかったものについて引き続き条件を検討して継続するとともに、成果の論文化などを進める。理論グループの国際共同研究についても、オンラインなどで実行できたものについて成果の論文化などを進めるとともに、一部予算を再度2021年度に繰り越して実りある理論面での国際共同研究の完成を目指す。 本国際共同研究加速基金は新学術領域「ハイブリッド量子科学」と連携したものである。「ハイブリッド量子科学」では、2015年からの活動を通して、量子トランスデューサ、古典系と量子系のハイブリッド、様々な材料のハイブリッド、そして様々な量子理論のハイブリッドに向けてインパクトのある融合が電荷、スピン、核スピン、フォトン、フォノンの間で生まれた。2019年12月の国際アドバイザリ委員会でも、ハイブリッド量子の研究は是非継続すべきであるとの積極的でポジティブなコメントを頂いている。COVID-19の影響でしばらくは抑制されるとしても国際共同研究、国際交流がハイブリッド量子分野の進展に不可欠であることは疑いがなく、今後この国際共同加速基金で得られた国際ネットワークを維持し、積極的に活かしていく所存である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由:2020年度は海外から共同研究者、協力者の招聘と、日本からの研究者の派遣を予定していたが、COVID-19の影響で国境を超えた行き来ができない状態が予想外に続いた。このため、一部はオンラインで実施したが、オンラインでは難しい部分も多く、その部分については2021年度へ予定を延期した。 今後の使用計画:理論グループで予定していた国際共同研究について、オンラインでは難しい共同研究について、2021年度に実現を目指す。COVID-19の終息は以前見えない状況であり、状況によってはオンラインに工夫を加えて理論面での国際共同研究を完了する。
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