2017 Fiscal Year Research-status Report
システム癌新次元国際連携支援
International Activities Supporting Group
Project Area | Conquering cancer through neo-dimensional systems understanding |
Project/Area Number |
15K21741
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮野 悟 東京大学, 医科学研究所, 教授 (50128104)
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Project Period (FY) |
2015-11-06 – 2020-03-31
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Keywords | がん / システム生物学 / ゲノム科学 / バイオインフォマティクス / 人工知能 |
Outline of Annual Research Achievements |
相互派遣企画委員会(小川誠司)並びに国際共同研究推進委員会(稲澤譲治)において、メールによる合議により企画並びに国際共同研究推進に関する議論と意思決定を行った。海外の研究先への派遣、国際共同研究を推進するために海外から研究者を招聘してネットワークを形成することが主な活動となった。平成29年度は、5月にほぼ1ヶ月間2名の若手研究者をMD Anderson Cancer Centerに派遣した。6月にはSystems Genomicsをテーマにハブ形成のために、若手研究者達により東大学医科学研究所に、韓国University of Ulsan College of Medicine(1名)、The Wellcome Trust Sanger Center(3名)、Harvard Medical School(1名)、University of Michigan(1名)、Mount Sinai(2名)を招聘し、セミナー、交流会を開催しネットワーク作りを行った。6月に東京医科歯科大学に韓国Seoul National University(1名)、米国UC San Diego(1名)を招聘し、シンポジウムに参加、交流を行った。7月には宮野と小川がシカゴ大学Center for Personalized Therapeuticsを訪問し、外部諮問委員である中村祐輔教授のコーディネーションによりセミナーを行うとともに同センターの主要な研究者と研究討論を行った。さらに、フンボルト大学及びボストン大学との連携のため、7月下旬に宮野他3名がベルリンのフンボルト大学に集まり議論を行った。小川からは、スウェーデン・カロリンスカ研究所へ1名を派遣、またタイ・チュラロンコン大学から1名(2回)の研究者を招聘して共同研究が進展した。米国George Mason Universityへも2名を派遣した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
人材の交流が活発化しはじめ、国際共同研究及びネットワーク形成が具体的に進展し始めた。特に、若手の主導により交流が行われヒューマンネットワークが形成されていることは、将来に向けての人材育成の観点からも重要な成果である。シニアな研究者は既に独自のネットワークをもって活動をしているが、若手が将来に向けて国際的な研究者コミュニティをリードしはじめたことは意義深い。国際社会における我が国の存在感を維持・向上するための方針・戦略に基づき、スパコンリソース及び旧新学術領域「システムがん」及び本新学術領域で整備したソフトウェアの国際利用を継続して行った。2017年より稼働している東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センターのスパコンSHIROKANE(550TFLOPS計算システム、高速ディスクアレイ30PB (Lustre File System)、ニアラインアーカイブ100PB)は、国際がんゲノムコンソーシアムの全ゲノムデータのアジア・ミラーサイトの構築に向かうことができたことは国際共同研究の推進として大きな意義がある。また、シカゴ大学との共同研究に大きく貢献した。これは、国際社会における我が国の存在感を維持・向上することに極めて大きく貢献していると考える。その実績は、世界トップジャーナルを含む多くの専門誌に大きなインパクトをもって報告されていることからもわかる。さらに、Watson for Genomicsを東京大学医科学研究所に導入し、その活用状況を世界にわたるアウトリーチ活動のなかで報告してきたことにより、人工知能活用をとおしてがんにかぎらず、生命科学研究の方法論を新次元へと昇華していく国際連携がはじまった。少なくとも、本新学術領域はがん研究における人工知能応用のアジアのハブになっている。今後はDeepTensorなど他の人工知能システムの可能性を国際共同研究の中で追求していく。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの企画を継続・更新し、相互派遣企画員会において派遣と受入についての企画を検討し、海外の研究グループとの共同研究を推進するとともに、若手ネットワーク形成を支援する。応募者に対しては、随時委員会においてメール審議を行い、派遣する研究員を決定する。また、海外からの受入れについても同様に、領域内の研究室への受け入れ研究員の決定を行う。派遣及び受入の期間については、効果をねらい、短期から長期まで経費の範囲内で柔軟性を持たせる。国際共同研究推進委員会においては、がん研究の新展開に関する国際動向の分析を行う。その他の事項についても、前述の活動を継続して実施する。平成30年度は、新たにメキシコの研究者グループ、特に、バイオインフォマティクス、がん免疫の研究者とのネットワーク作りを企画している。この企画には外部諮問委員の中村祐輔教授も参加する。また、ゲノムデータ解析をテーマとした若手ネットワーク形成のために、本年度は香港大学等の研究者を招聘してセミナー等を開催する予定である。そして、昨年と同様に、フンボルト大学とボストン大学との連携のために、7月にボストンに研究者を派遣して連携を図る。人工知能技術のがん及び生命科学研究への導入については、Watson for Genomicsでは米国本社の開発部と継続して密に連絡をとり、国際共同研究を推進する体制を継続して作っていく。さらに、これまでの研究でWatson for Genomicsだけでは不十分なところが判明しているところについては、今後グラフ構造からの知識発見のためにDeepTensorなど他の技術の調査と導入を検討する。
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Causes of Carryover |
(理由)企画調整、及び国際共同研究推進の施策に基づき、次項の「使用計画」に説明している内容で平成29年度に研究者の交流・派遣を実施すよりも、これまでの実績に基づき平成30年度に実施することが本新学術領域を発展させ、本事業の目的を遂行するために最適と考えられるため。
(使用計画)新たにメキシコシティのCenter for Research and Advanced Studies (Cinvestav)の研究者グループ、特に、バイオインフォマティクス、がん免疫の研究者とのネットワーク作りを実施する。この企画には外部諮問委員の中村祐輔教授ががん免疫研究者を連れて参加する。本領域からの参加者は計画研究代表・宮野悟及び研究協力者である。また、ゲノムデータ解析をテーマとした若手ネットワーク形成のために、本年度は香港大学等の研究者を東京大学医科学研究所に招聘してセミナー等を開催する。そして、昨年と同様に、フンボルト大学とボストン大学との連携のために、7月にボストンに研究者を派遣して連携を図る。
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Research Products
(6 results)