2017 Fiscal Year Research-status Report
多様な質感認識の科学的解明と革新的質感技術の創出
International Activities Supporting Group
Project Area | Understanding human recognition of material properties for innovation in SHITSUKAN science and technology |
Project/Area Number |
15K21742
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Research Institution | NTT Communication Science Laboratories |
Principal Investigator |
西田 眞也 日本電信電話株式会社NTTコミュニケーション科学基礎研究所, 人間情報研究部, 主幹研究員 (20396162)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩井 大輔 大阪大学, 基礎工学研究科, 准教授 (90504837)
堀内 隆彦 千葉大学, 大学院工学研究院, 教授 (30272181)
佐藤 いまり 国立情報学研究所, 大学共同利用機関等の部局等, 教授 (50413927)
中内 茂樹 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00252320)
岡嶋 克典 横浜国立大学, 大学院環境情報研究院, 教授 (60377108)
南本 敬史 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学総合研究所 脳機能イメージング研究部, チームリーダー(定常) (50506813)
土橋 宜典 北海道大学, 情報科学研究科, 准教授 (00295841)
神谷 之康 株式会社国際電気通信基礎技術研究所, 脳情報通信総合研究所, 研究室長 (50418513)
佐藤 洋一 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (70302627)
梶本 裕之 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (80361541)
坂本 真樹 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (80302826)
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Project Period (FY) |
2015-11-06 – 2020-03-31
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Keywords | 質感 / 情報工学 / 認知科学 / 神経科学 / 感性情報学 |
Outline of Annual Research Achievements |
(土橋)屋外における音波伝搬のリアルタイムシミュレーションおよび流体の効率的な乱流表現に関する共同研究を、スタンフォード大学およびピクサーと開始した。また、 CG分野における 米国のトップクラスの研究機関を訪問し、国際的なネットワークを構築した。(南本)NIHのDr. Barry Richmondら3名を招聘し、DREADDを用いたサル局所脳活動の制御法、多点電極留置手術に関する技術支援を受けると共に、価値判断や情動の神経回路基盤の解明に取り組んだ。(梶本)University of LondonのVincent Hayward教授の元に大学院生を派遣し、指先における動的な刺激に対する指先機械受容器の神経活動計測、および前腕で確認された皮膚上を移動する触覚刺激の空間的補完現象を指先において再現する研究を進めた。(佐藤いまり)状態の変化(乾く/濡れる)による物体表面の分光特性の変化と散乱特性のモデル化手法の開発を米国ドレクセル大学と共同で進めた。(堀内班の富永)米国の国際会議Electronic Imagingで開催されている質感関連のセッションであるMMRMA会議やPhotonics West Exhibitionに出席し、人的ネットワークの構築および最新のイメージ ング装置や表面計測装置の調査を行った。また、スタンフォード大学のProf. Wandellを訪問し討論を行った。(坂本)音象徴語を用いた質感評価に対する国際比較研究を遂行するために、イギリスのUniversity of LincolnのNicola Bellotto准教授の研究室で実験を行った。日本、韓国およびイギリスで実験を行った結果、質感評価において文化に依存しない普遍的な音象徴語が存在する可能性が確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(土橋)スタンフォード大学およびピクサーとの国際共同研究が進行中で、うち1件は国際論文誌への条件付き採択が決まっている。(南本)DREADDを用いた価値判断の神経基盤について、前頭眼窩野と吻内側尾状核の連絡が必須である結果を得ており、現在追加実験での検証を行っている。またDREADDとfMRIを用いた解析により聴覚情動処理における前頭眼窩野の役割と関連する神経回路について結果が得られており、例数を増やして検証を行っている。(梶本)神経活動計測はスウェーデンのリンシェーピング大学で行い、被験者を用いた予備的な実験、及び実験系の改善を行った。第二のプロジェクトでは指先においても前腕の場合と同様、皮膚上を移動する触覚刺激に途中の空間的ギャップが与えられてもそれに気づかず一定速度の刺激であると感じる現象を確認した。Eurohaptics2018に採択された。(佐藤)ドレクセル大学との共同研究の成果は、コンピュータビジョン分野のトップ国際会議CVPR2017の口頭発表(採択率2.65%)に採択され、注目を集めた。(富永)MMRMAのGeneral ChairおよびConference Chairと質感等に関する国際会議の運営について意見交換した。米国ではアピアランスの評価やレンダリングに偏った研究が多く、質感に関する幅広い領域で協調するためには日本からのMMRMAの参加を増やしてほしいとの要請があった。(坂本)「粗いー滑らか」、「硬いー柔らかい」尺度に着目し、刺激の選定を行った。音象徴語は文化ごとに存在しない新規音象徴語を使用した。特任研究員を韓国とイギリスに派遣し、音象徴語を用いた質感評価に対する実験を遂行した。日本、韓国およびイギリスにおいて、触感サンプルの質感評定値と、質感を表す音象徴語が一致する確率が有意に高い組み合わせが発見された。VSS2018にて発表を予定している。
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Strategy for Future Research Activity |
(土橋)進行中の国際共同研究を着実に成果へとまとめつつ新たな共同研究へとつなげるため、継続的に相手先の研究者の招聘や国内研究者の訪問・派遣を行う。同時に、より広範囲でグローバルな研究活動を推進するため、ヨーロッパ・アジアの諸研究機関を訪問し国際的なネットワークの拡充を図る。(南本)今後もNIHから研究者を招聘して技術提供を受けるとともに、若手研究者をNIHに派遣し最先端の技術を習得して国内研究機関に提供することで、サル脳科学研究を加速させるなど領域の発展に寄与する。(梶本)指先皮膚上を移動する触覚刺激の空間的補完現象を精査し、モデル化等を行う。現在も継続的にオンラインミーティングを行っており、6月に開催されるEuroHapticsでも経過共有と議論を行う予定である。(佐藤)米国Simon Fraser大学およびCarnegie Mellon大学を訪問し、共同研究を立ち上げ、推進する。(富永)MMRMAとの協調を進めることに加えて、欧州の質感プロジェクトとの協調を計画していく。また、スタンフォード大学との研究議論を継続し,成果につなげていく。(坂本)今後、中国、フィンランドなど国際比較の対象となる国を増やし、質感特徴に結びつく音象徴語の普遍性と文化差を明らかにする。また、そのメカニズムとして調音特徴および国際音声記号との関連性を調べ、考察を行う。得られたデータは論文執筆とともに質感データベースと質感変換システムに活用する。(西田)仏国INRIAのBarla博士のもとに研究員を派遣し、共同研究を立ち上げ、推進する。独国ギーセン大学のFleming研究室よりポスドクを迎え、共同研究を進める。
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Causes of Carryover |
5年の研究期間のうちはじめの2年はほぼ準備期間だったが、3年目となったH29年度は多くの国際共同研究が一気に立ちあがった。最後の2年は、前半で残しておいた基金を最大限に活用して、国際共同研究を加速する。
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Research Products
(7 results)