2015 Fiscal Year Research-status Report
「新生鎖の生物学」推進のための国際連携
International Activities Supporting Group
Project Area | Nascent-chain Biology |
Project/Area Number |
15K21743
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
田口 英樹 東京工業大学, 生命理工学研究科, 教授 (40272710)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲田 利文 東北大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (40242812)
田中 元雅 国立研究開発法人理化学研究所, その他部局等, その他 (40321781)
河野 憲二 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 教授 (50142005)
藤木 幸夫 九州大学, 生体防御医学研究所, 研究員 (70261237)
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Project Period (FY) |
2015-11-06 – 2019-03-31
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Keywords | 新生鎖 / シャペロン / フォールディング / 品質管理 / リボソーム / 翻訳 |
Outline of Annual Research Achievements |
翻訳途上の新生ポリペプチド鎖(新生鎖)が、細胞全体の生命現象の制御と調節に関わることが明らかになり、新たなバイオロジーが生まれつつある。そこで本国際共同研究加速基金では、海外との「新生鎖の生物学」研究者との共同研究や交流を密にして、新生鎖をハブとする遺伝情報発現と細胞機能制御のネットワーク解明および分子機構の理解をめざす。 【田口】Bukauら(ハイデルベルク大)とオリゴマータンパク質の構造形成に関する共同研究の打ち合わせを行い、共同研究のための予備実験を行った。Iwaiら(ヘルシンキ大)と新生鎖フォールディングに関する共同研究打ち合わせを行った。【稲田】リボソームのクライオ電顕で世界を牽引しているBeckmann(LMUミュンヘン大)と構造解析を推進した。27年度はこれまでに行ってきた共同研究(稲田らが見つけたE3ユビキチンライゲースRQT1とリボソームとの複合体のクライオ電顕による構造解析)を行った。【田中】酵母のリボソームによる合成途中の新生鎖を光ピンセット法で引っ張り、その構造の解明や新生鎖の折りたたみ機構を解明するため、まず、酵母リボソームの精製法を確立し、次に光ピンセット法を行うに必要なリボソームとビーズを結合させるために必要なタグをリボソームに導入した。一連の実験を行うにあたり、1月14日~3月31日まで小見研究員が共同研究先のブスタマンテ研究室(米国)に滞在した。【河野】XBP1u 新生鎖はC末端側で翻訳の一時停止を行い、疎水性領域HR2をSRPが認識しSRP経路を利用して小胞体膜上のトランスロコンに運ばれることを明らかにした(論文投稿中)。【藤木】新生テイルアンカー(TA)型膜タンパク質の品質管理に重要な因子であるUbxD8研究の第一人者であるKopito博士(Stanford大)との共同研究を開始するための準備を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
班員によって達成度合いにばらつきがあり、必ずしも当初の計画通りに進んでいるとは言えないが、27年度半ばを過ぎてから、本課題が採択となったこと、年度末にさしかかったことを鑑みると、「おおむね順調に進展している」と言ってよいと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
【田口】Bukauらとの共同研究を本格的に推進する。さらに、新生鎖フォールディングにおけるシャペロンの寄与を明らかにするための画期的な方法である質量分析を使った水素ー重水素交換実験(MS-HDX)の第一人者であるペンシルバニア大のEnglanderラボと共同研究を開始する。【稲田】27年度に引き続き、Beckmannらとクライオ電顕によるリボソーム複合体の構造解析を推進する。さらに、米国のリボソームプロファイリングの専門家との共同研究も推進する。【田中】研究に着手しているので、次年度は、リボソームとビーズを結合させるために必要なタグが実際にうまく機能するかを確認する。その後、東大・富田グループ、米国・のブスタマンテのグループと共同して、酵母の再構築型無細胞翻訳系を用いて、新生鎖を合成途中のリボソームを精製し、実際に光ピンセット法を用いて新生鎖1分子を引っ張り、その構造空間を解析する。【河野】Jonathan Weissman研との共同研究を進めるが、今までに解析したデータの集積があるので、その解析を行うことも検討する。【藤木】Kopito博士との共同研究を実施に移す。
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Causes of Carryover |
27年度に本課題が採択となってから使用に移った時期が年度末に近く、研究計画通りに執行できなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度の研究計画に基づいて、今年度の基金を使用する。
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