2017 Fiscal Year Research-status Report
「新生鎖の生物学」推進のための国際連携
International Activities Supporting Group
Project Area | Nascent-chain Biology |
Project/Area Number |
15K21743
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
田口 英樹 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 教授 (40272710)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲田 利文 東北大学, 薬学研究科, 教授 (40242812)
田中 元雅 国立研究開発法人理化学研究所, 脳科学総合研究センター, チームリーダー (40321781)
河野 憲二 奈良先端科学技術大学院大学, 研究推進機構, 特任教授 (50142005)
藤木 幸夫 九州大学, 生体防御医学研究所, 特任教授 (70261237)
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Project Period (FY) |
2015-11-06 – 2019-03-31
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Keywords | 新生鎖 / シャペロン / フォールディング / 品質管理 / リボソーム / 翻訳 |
Outline of Annual Research Achievements |
【田口】ペンシルバニア大のEnglanderラボとの共同研究で、新生鎖フォールディングに関わるシャペロンの基質タンパク質のフォールディング機構をペプチドレベルで解析することができた。コロラド州立大学のT. Stasevich博士との共同研究では、生細胞内での翻訳に共役したフォールディングの直接観察の準備となる遺伝子や抗体の調製を行っている。 【稲田】翻訳伸長阻害に起因する品質管理機構RQCが作動するためには、E3ユビキチンライゲースRQT1による40Sリボソームタンパク質Rps20の特異的なユビキチン化が必須である。Beckmann研との共同研究により、RQT1-Ribosome中のリボソームが極めて特徴的な伸長複合体構造であることを見出した(Matsuo et al., 2017)。 【田中】タンパク質合成中のtRNAの種類や量を詳しく解析する「tRNAリボソームプロファイリング法」を新たに開発し、翻訳中のリボソーム内に入っているmRNAとtRNAを同時に解析することで、タンパク質合成の過程をより詳しく調べた。 【河野】膵臓β細胞におけるインスリンのフォールディングに小胞体ストレス応答経路のIRE1a, ATF6aが関っていることを見出した。IRE1a はProtein disulfide isomerase (PDI) ファミリーのうち、特に5つのPDIの発現誘導を行っていることが明らかとなった。 【藤木】a) Stanford大学Frydman研との共同研究として進めているBag6の研究対象として、デングウイルスの感染と複製機構の解明をBag6の関連も含めて推進している。b) プラスマローゲン生合成律速酵素Fatty acyl-CoA reductase (Far1)の発現と活性調節機構などに関してWien医科大学Berger研と共同研究を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
【田口】Englanderラボとの共同研究は、質量分析による水素-重水素交換実験の条件決めが功を奏したため、当初の計画以上に進展をした。 【稲田】Beckmann研との共同研究により、RQT1-Ribosome中のリボソームが極めて特徴的な伸長複合体構造であることを見出した(Matsuo et al., 2017)】 【田中】mRNAリボソームプロファイリングやtRNAリボソームプロファイリング法などを用いて、酵母を栄養飢餓や酸化ストレスに暴露した際に翻訳がどのように変化するかを調べたところRibo-tRNA-seqが、環境ストレスに応答した翻訳の変化を最も敏感に反映した。 【河野】IRE1aとATF6aのダブルKOマウスは、IRE1aKOマウスよりも重度の糖尿病を発症する。この原因をマウス由来のβ細胞を用いて解析している(UCSF, Peter Walter らのグループとの共同研究)。また韓国のグループとの共同研究でクラミドモナスのIRE1を取得しその解析を行った。 【藤木】a) ウイルス感染時に核局在性Bag6のほとんどが細胞質に流出することを見出している。b) PEX14ノックアウトマウスPEX14ΔC/ΔCおよび プラスマローゲン初発酵素欠損マウスDhapat-/-の小脳では、野性型と比較してFar1レベルは増加したが、mRNAの発現量は野生型マウスと同程度であることを見出した。c) この患者由来線維芽細胞では、正常細胞と殆ど同程度のペルオキシソームが検出されたことから、非常に弱いペルオキシソームタンパク質輸送障害が示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
【田口】引き続き、ペンシルバニア大との共同研究は論文化に向けて解析を進める。コロラド州立大との共同研究は引き続き、試料の調製を行い、準備ができ次第、米国にて顕微鏡観察を行う。 【稲田】RQT1によるRps20のユビキチン化依存に形成される新規複合体とRibosomeの複合体の解析を進める。また RQT複合体による解離反応を試験管内で再構成し、複合体の構造をBeckmann研との共同研究で進める。Ribosome profiling法を用いたIngolia研との共同研究により、RQT1やNOT4依存のユビキチン化欠損変異体の翻訳異常を解析し、ストレス応答時に新規翻訳制御機構の解析を進める。 【田中】tRNA/mRNA同時リボソームプロファイリング法を用いて、tRNAの修飾や分解が翻訳の正確性をどのように変えるのかをコドンレベルで調べ、tRNA修飾の生理的意義を明らかにする。また、哺乳動物の細胞を用いて、翻訳中のリボソーム内に入っているtRNAの種類、量や修飾を定量的に明らかにする実験技術およびバイオインフォマティクス技術を開発する。 【河野】ダブルKOのβ細胞は樹立困難なので、Peter Walter らのグループが見出したATF6aの特異的阻害剤Ceapin A7を用いて解析する。 【藤木】a) デングウイルスとBag6をつなぐ分子の同定に取り組む。b) 小脳においてFar1の増減により影響を受けるいわゆる下流の因子、代謝物質等も含めて検討し、ペルオキシソーム病の発症とも関連づける。c)さらに詳細な解析を進め、TAタンパク質Pex26の変異とペルオキシソーム形成障害、さらには聴力障害発症との関連を検討する。
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Causes of Carryover |
【次年度使用額が生じた理由】28年度に遅れが生じた共同研究(生細胞内での新生鎖伸長イメージング)に関して29年度は順調に研究が進んだが、遅れを取り戻すほどには進まなかったため、さらに次年度に共同研究を持ち越すこととした。 【使用計画】共同研究に必要な試料の入手後、生細胞内での新生鎖伸長イメージングに必要な試料(DNAや単鎖抗体)を構築する。このプラスミドを培養細胞に導入して、細胞が生きたままで新生鎖が産まれるようす、さらには細胞内で翻訳に共役したフォールディングを可視化した上で速度論的な解析を行う。
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[Journal Article] New splicing variants of mitochondrial Rho GTPase-1 (Miro1) transport peroxisomes.2018
Author(s)
Okumoto, K., Ono, T., Toyama, R., Shimomura, A., Nagata, A., and *Fujiki, Y.
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Journal Title
J. Cell Biol.
Volume: 217
Pages: 619-633
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Reduction of ether-type glycerophospholipids, plasmalogens, by NF-κB signal leading to microglial activation.2017
Author(s)
Hossain, Md. S., Abe, Y., Ali, F., Youssef, M., Honsho, M., Fujiki, Y., and *Katafuchi, T.
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Journal Title
J. Neurosci.
Volume: 37
Pages: 4074-4092
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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