2015 Fiscal Year Research-status Report
日豪細胞死研究協議会を核とした細胞死研究国際コミュニティの形成
International Activities Supporting Group
Project Area | Homeostatic Regulation by Various Types of Cell Death |
Project/Area Number |
15K21753
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
田中 正人 東京薬科大学, 生命科学部, 教授 (00294059)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中野 裕康 東邦大学, 医学部, 教授 (70276476)
田中 稔 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他部局等, その他 (80321909)
須田 貴司 金沢大学, がん進展制御研究所, 教授 (70250090)
安友 康二 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部, 教授 (30333511)
山崎 晶 九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (40312946)
山口 良文 東京大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (10447443)
袖岡 幹子 国立研究開発法人理化学研究所, その他部局等, その他 (60192142)
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Project Period (FY) |
2015-11-06 – 2019-03-31
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Keywords | 細胞死 / 免疫 / 炎症 / 再生 |
Outline of Annual Research Achievements |
田中(正)は、Ivan Poon博士 (La Trobe University, オーストラリア)らと共同で、apoptotic bodyの生体内での動態について解析を進めた。この目的のために2016年3月に大学院生であるGeorgia Atkin-Smith氏が来日し、2週間、田中の研究室で実験およびdiscussionを行った。さらに、同氏は領域の研究者が所属する3大学を訪問し、セミナーおよびdiscussionを行った。 中野は、John Silke博士 (WEHI, オーストラリア)らが樹立した、ネクロプトーシスを誘導できる細胞株を用いて、その生化学的、形態学的特徴を共同で解析した。 袖岡は、Grant Dewson博士 (WEHI)らが開発した膜タンパク質相互作用の解析システムを利用して、細胞死制御化合物の効果を共同で検討した。 安友はGuillaume Lessene博士 (WEHI)らが開発したMLKL阻害剤を、ヒト家族性肺線維症モデルマウスに投与し、治療効果を検討した。 山崎は、Spencer J Williams博士(メルボルン大学, オーストラリア)とMincleの構造活性相関に関する共同研究を行い、共同研究論文を執筆した。また、Bridget Stocker博士(ビクトリア大学, ニュージーランド)と共同で慢性炎症治療薬候補としてのMincleアンタゴニストのリード化合物を合成した。さらに大学院生のAmy Foster(ビクトリア大学, ニュージーランド)が2016年1月に来日し、3ヶ月間、Mincle内因性リガンドの構造決定、Mincleアンタゴニストの開発に関する共同研究を行った。 公募班の白崎は、Stephanie Conos (WEHI)とSingle cell analysis of caspase-1 dimerization induced IL-1β secretion に関する共同研究を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記のように、2016年11月に本研究課題が採択されてからの約5ヶ月間で、7件の共同研究と、2件の研究者受け入れを行うことができた。これは、当初計画を上回る実績であり、極めて順調に計画が遂行できたと考える。これらは、オーストラリアやニュージーランドといったオセアニア地域の研究者との共同研究や交流であるが、これは、2016年10月にオーストラリアのWEHIの細胞死研究者と我々の領域が共同で行った、国際シンポジウム(オーストラリア メルボルンで開催)によるところが大きいと考える。実際、上記の活動の多くは、国際シンポジウムの際に行った共同研究のためのクローズドのmeetingを端緒として始まっており、領域が国際共同研究の推進に組織的に取り組んだことによる成果であると考えている。人的交流に関しては、今年度は2名の若手研究者を受け入れたが、これは共同研究の加速度的な推進につながっただけでなく、受け入れ研究室に所属する若手研究者の意識向上に大きく寄与するものであった。特に田中(正)のラボで受け入れた若手研究者は、近隣に位置する領域の研究者所属の3大学に出向いてセミナーおよびdiscussionを実施した。この企画は、各ラボの若手研究者にとって大変貴重な経験となったとの声が寄せられており、今後も可能な限り行いたいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
上記のように、本年度は当初の計画を上回る共同研究と人的交流を行うことができたが、今後はさらにこれを発展させて、オセアニア地域の細胞死関連研究者とのより緊密な関係を構築していく予定である。また、この関係を基盤として、他地域の研究者との共同研究および人的交流も進めていく。具体的に、上記7件の共同研究(田中正-Dr. Poon, 中野-Dr. Silke, 袖岡-Dr. Dewson, 安友- Dr. Lessene, 山崎- Dr. Williams および Dr. Stocker, 白崎-Dr.Lisa Lindqvist, Dr.James Vince)に加えて、下記の新規共同研究および交流を行う。 中野:Dr. Silkeの研究室へ博士研究員を派遣 山崎:共同研究として4件 (1. Dr. Spencer Williams(メルボルン大学 オーストラリア)2: Olivier Lantz(Institut Curie, フランス)3: Bernard Malissen(INSERM, フランス)4.Gordon Brown(Aberdeen University, スコットランド)) 人的交流3件(共同研究のための日本からの派遣2件、海外研究者受け入れ1件) 安友: 共同研究1件(Dr. Gabriel Nunez(ミシガン大学, アメリカ) 公募研究班に対しても、国際共同研究および人的交流を奨励し、必要な経費を助成する。また、若手研究者の国際学会派遣についても進める。
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Causes of Carryover |
本年度、研究代表者の予算は、主に自身の国際共同研究の消耗品代やオーストラリア大学院生の受け入れ、および公募班員の国際共同研究の諸費用に当てる予定であった。しかし、大学院生の受け入れに関しては、飛行機代、宿泊費および実験経費が当初の予想よりも削減でき、また公募班員の国際共同研究の件数が、予想よりも少なかったため、剰余分は繰り越すこととした。研究分担者への分担金は、国際共同研究や人的交流が予定されていた分担者に必要予定額を配分したが、共同研究の進捗により繰越金が生じた
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記のそれぞれの国際共同研究は問題なく進められており、来年度も継続することが決定しているので、繰越金は来年度の消耗品代にあてる予定である。また、公募班員にも共同研究の積極的な取り組みを促し、国際共同研究を開始した班員には、必要な予算措置を講ずる予定である。また、本年度行ったように、海外大学院生を受け入れた施設で連携して交流する試みは、若手研究者の育成にとって大変有益であることが分かったので、来年度も同様の取り組みを進める。さらに、若手研究者の海外派遣も奨励し、これに予算をあてる。
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Research Products
(3 results)